2020.09.24
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体力悪化時代の運動指導の考え方

逆転の発想で運動指導を考える

旭川大学短期大学部 准教授 赤堀 達也

はじめに

第28期も教育つれづれ日誌で執筆させていただけることになりました。皆様のおかげです。今期も一石を投げかけられるような話題を提供していけるよう努力していく所存です。どうぞよろしくお願い致します。

体力悪化時代

これまでの体力低下の推移としては、最盛期にまだまだ遠く及ばないものの少しずつ改善してきていました。しかし2019年度の体力テストはガクンと急降下し、そのまま追い打ちをかけるように新型コロナウイルス感染症による休校措置や夏の猛暑による運動禁止によって子どもたちの体力は悪化時代に突入してしまっていることでしょう。

運動理論

これを機に運動指導に関する理論的な「考え方」を変えていくべきだと私は考えています。例えば運動を指導する際に「強く速く」を求めると思います。そうなれば当然、筋肉を強くすることを考えるようになります。昔の自然の中で運動遊びをして育ってきた子どもたちにはその考え方でも良いのかと思います。しかし現在は自然もなく、運動遊びもしてきていないで育ってきた子どもたちですので、昔の子どもとは運動に対しする発達が異なっていることを考慮した指導を考えていくべきです。そうしないと歪が出てしまうことになります。

脱力反射理論

それではどのように考えたらいいのでしょうか。私は「脱力」だと考えています。筋肉に頼らない動きをすることで、自分の体の感覚を意識しながら動くようになります。自分の体と会話できるようになり、とても良い気づきが表れます。そうすると人間の中で最も速く強くはたらく防御反応「反射」を利用しながら動くことにもなります。私はこの考え方を「脱力反射理論」と勝手に呼んでいます。

例えば…

例えばスタートダッシュする際に、「よーいドン」で地面を蹴ってスタートするのが通常だと思います。しかし蹴る力でスタートせずに、倒れる勢いでスタートすると、実は早くスタートできます。小さい子どもを見ているとわかると思いますが、一生懸命走ろうと頑張っている子どもは遅いです。逆に自然な感じで走っている子どもの方が速く走れます。力に頼らないことで、自分の体を上手に操る会話ができるようになるのです。
そのため「できるできない」や「勝ち負け」を求められる「体育」ではなく、リラックスした「運動遊び」が大事なのです。
以前「幼児体育の世界では運動遊びが求められるようになった」とお伝えしました。私はこんな理由もあると考えています。

こんな効果が!

偶然ですが昔からこのような考え方でバスケットボールの指導を研究しながら実践してきました。今までの運動指導とは真逆の考え方になりますが、現在の子どもには必要な段階であります。この考え方で指導をしてきましたが、体力テストが市内最下位だった小学校のチームが県大会優勝し、前カテゴリーで無名だった選手が集まった中学校や大学でも劇的な成長を遂げました。また高校時代に部活動に所属していなかった学生が(クラブチームにも所属していません)、この理論で練習し、社会人野球で新人にしていきなり市選抜に選出されてもいますので、他のスポーツにも応用可能です。

私のホームページ「スポーツ指導に一石を!」で、運動理論の紹介をしていますのでご覧いただけたら嬉しいです。ホームページのお問い合わせで、ご質問にもお答えしていきます。

最後に、今期も執筆をがんばりますので、どうぞよろしくお願い致します。
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赤堀 達也(あかほり たつや)

旭川大学短期大学部 准教授・元パーソナルストレッチトレーナー・バスケットボールコーチ
幼児体育指導、小学校のスポーツ少年団指導、中学校の部活動指導、高校の体育指導、大学の体育指導及び部活動指導と、全年代の子どものスポーツ及び体育指導の経験を生かし、子どもの運動能力の向上を図る研究を行う。

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