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言葉は体験と結びつくことで実感的に理解されます。「ホウレンソウの蒸しパン」を作った体験をよりどころに、「蒸す」に関わる言葉を思い出します。体験が言葉を引き出し、見つけた言葉から異なる教科や領域へと広がっていくのです。それにより、子どもたちの言葉の世界が豊かになっていきます。調理の言葉への関心を高める4年生国語科での学習です。
「蒸す」から連想する言葉を集めよう
「ホウレンソウの蒸しパン」を作ったことを振り返ることから学習は始まりました。子どもたちに
「“蒸し”パンの生地を“蒸し”器で“蒸し”ましたね」
と言うと、
「先生、『蒸す』ばっかりだね!」
と、まずはツッコミを入れられました。
「では、蒸した時に何を見つけたかな?」
と問うと、
「湯気がいっぱい出てきました」
「熱かったよ」
「お湯を沸かしました」
「蓋をとると蒸しパンが膨らんでいました」
子どもたちが経験したことを語ります。

付箋紙を貼る子どもたち
次に、
「蒸しパンを作った時に出会った『蒸す』に関係する言葉を集めてみましょう」
と言いながら、子どもたちに付箋紙を配ります。子どもたちは1枚の付箋紙に、思いついた言葉を一つ書くこととします。黒板の中央に大きく書かれた「蒸す」の周辺に、一人一人が自分の付箋紙を貼っていきます。
子どもたちが付箋紙を貼る作業を手伝いながら、大まかな分類をしていきます。「水蒸気」などの理科で登場した言葉、「シューマイ」などの料理名、「茹でる」などの調理の言葉に分けました。
「蒸す」について一度整理
「湯気」「水」「液体」「水蒸気」「気体」「沸騰」「水の粒」といった、理科の学習内容につながる言葉のグループに注目させます。
「この言葉ってどこかで習ったよね」
と聞きます。
「理科の時間に習いました」
「水の変身のことです」
と子どもたち。
「そうですね。理科で勉強した『水が温度によって姿を変える』ということを、蒸しパン作りで確認したのですね」
さらに続けます。
「水を温めて沸騰させ、出てきた水蒸気で調理する。冷えたら湯気が見える。水滴も付きますね」
このように、理科の学習内容である「水の三態変化」につなげながら「蒸す」ことを説明していきます。
「蒸す」料理を探す

「蒸す」から広がる言葉の世界
「そうか、蒸すって理科なんだ!」
と子どもたちは理解を深めます。そこで、
「そうですね。蒸すに関係することは理科の勉強につながっているのです。じゃあ、『蒸す』ことでできる料理はあるかな?」
と話を料理の世界へ広げていきます。子どもたちからは、
「あんまん」
「ピザまん」
「蒸し餃子」
「茶碗蒸し」
と、次々に意見が出てきます。今度は、
「いろんな食べ物が出てきたね。ところでどうして蒸すといいのだろうね?」
と、蒸すことの利点を考えさせます。
「柔らかくなるから」
「おいしくなる」
「色が濃くなる気がする」
「蒸しパンの時に生地が膨らんで大きくなったよ」
こうした意見が出てきます。
「蒸す」ことのよさについて話し合う
ここで栄養教諭の登場です。担任教諭が代表して、子どもたちの意見をまとめて報告後、
「『蒸す』って、どんないいことがありますか?」
と聞きます。栄養教諭からは、
「柔らかくなって食べやすくなります。栄養素が溶け出さない上に、油を使わないので栄養がギュッと詰まってしかもヘルシーです。水蒸気は気体なので食品がどのような形をしていても、熱が食品全体に行き渡るからムラがなく調理できます」
といった話をしていただきました。
さらに、「蒸す」は水を沸騰させて出た水蒸気の熱で加熱すること。「蒸らす」は、火を止めて調理器具の内部に残った熱や水蒸気などを閉じ込めて調理する方法であること。「蒸す」と「ふかす」は同じ意味で、蒸したイモのことを「ふかしイモ」と言う……といった、それぞれの調理法の違いや共通する点についての話がありました。
子どもたちは、「蒸す」という言葉を足場に、理科と調理の世界、そして生活の中の調理の言葉へ関心を向けるとことができました。
文:藤本勇二 イラスト:あべゆきえ、みうらし~まる〈黒板〉
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