年度末を迎えて
年度末になりました。担任を持たれている先生方は、年度末のイベントやプログラムをお考えでしょうか。学校全体の行事としてある「6年生を送る会」、「卒業式」だけでなく、学級では「お別れ会」なども企画されているところもあるかと思います。1年を楽しく締めくくることで、子どもたちは次の学年へと気持ち良く進んでいくことができるでしょう。
こうした大きなイベントだけでなく、私が年度末に大切にしているのは「学級目標」や「個人の目標」のふり返りです。4月当初に子どもたちと作った学級目標や一人ひとりが考えた個人の目標。果たして、どこまで達成できたでしょうか。そもそも、目標のことを意識しながら過ごすことができたでしょうか。
目標って?
「目標」という言葉を辞書で調べると、
「そこまで行こう、成し遂げようとして設けた目当て。目じるし。」(大辞林:三省堂)
とあります。4月当初に立てた学級目標であれば、「学級全体で、3月末にはこんなことができるようになっているといいな」というものですよね。だからこそ、日々、自分たちが進んでいくべき道が見つかってきます。たとえ外れる時があったとしても、また戻っていくことができます。
ちなみに私の学級の目標は
- 笑顔いっぱいで接し合おう
- 健康は元気の素
- 協力で5-1をつなごう
- ?を考えて!に変えよう
- ON・OFFのメリハリをつける
- 人生一度きりの5年生を楽しもう
の6つです。変に1つにまとめると良く分からなくなるので、6つになりました。「これって目標と言えるの?」というのもあるかもしれませんが、大事なのは「子どもたちがつくること」です。だからこそ、「自分たちの目標」として大切にします。私も事あるごとに目標に触れた話をするので、子どもたちも自然と目標をもとに話をするようになりました。
こうした目標が、教室のどこかにずっと飾ってあるだけでは意味がありません。そうなると、目標はただの飾りです。子どもたちも、「まぁ適当に考えたらいいや」程度のことを学んでしまいます。目標を軸にして様々な活動に取り組んでいくことによって、自分の成長を実感し、目標の大切さも実感していきます。
子どもから学ぶ
以下は学級の子どもが2週間前に自主学習で書いてきたふり返りです。
5年生の1番初めの目標は「人が話している時は、その人の方を向いて聞く」でした。
何回も言うけど、そんな目標は今では当たり前のようにできています。
でもその目標が当たり前にできるようになったのも、
きっと毎日授業の中でもいろんな場所で意識していたからだと思います。
1学期、2学期にはいろんな行事があったので、行事に合わせて目標を変えていきました。
例えば、臨海学習では「500mを泳ぎきる」でした。
5年生の始め、若松先生が1年間の目標を書く授業をして、
目標という言葉を聞いて「意味がない」と思ったけど、
目標を書くとそれに対して毎日毎日意識できて、ついには達成ということができました。
そこから僕は、目標は大切ということが分かって、毎週自分で目標を持つようになりました。
そして今の目標は「聴く」を「効く」に!です。
というのは今までの「きく」の漢字は「聞」でした。
でももっと上のレベルのきくを目指したかったので2学期で「聴」になりました。
そして、さらに上を目指そうと、「効」にしようと目標を立てました。
目標はすごく大切です。目標がなければゴールの光が見えない!!
いつまでも暗い迷路にいるだけで、いつまでたってもゴールにはたどり着けない。
でも目標があると、ゴールの光が見えるから、毎日一歩ずつゴールに近づくことができる。
僕は人生が終わるまで目標を持ち続けたいです。
大事なことは、もうこの子のふり返りにほとんど書かれています。
目標があるから進んでいけます。目標がなければゴールの光が見えません。暗い迷路にいるだけです。
大きな目標ばかりじゃなくていい、小さな目標も大切なんです。
子どもたちはいつも純粋な言葉で私に大切なことを教えてくれます。
自己成長力をつけるために
目標と照らし合わせて、現在の段階でできていないことがあるからといって、決してマイナス感情になる必要はありません。目標に向かっており、できたことが少しでも増えていれば、それは大きな成長です。こうした感覚で目標と関わっていければいいですね。
何か目標とそぐわない行動をしていても「目標の事考えているか??」なんて怒ってもいけません。できていないことは自分が一番分かっているはずですから。そうであれば、できていないことを責めるより、どうすれば目標に近づくことができるのかを一緒に考えることが大切だと思います。そうすると、これからは自分で「どうすれば?」を考えながら、自分の成長のために目標を勝手に設定し始めます。困ったら周りの人に相談してもいいことも学ぶでしょう。
学級での時間も残りわずかとなりました。成長したことを実感できるように、来年度の学年でも「目標」を持って進んでいけるように、自分(たち)を見つめる時間を大切にしていきたいと思います。
若松 俊介(わかまつ しゅんすけ)
京都教育大学附属桃山小学校 教諭
「子どもが生きる」授業を目指して、日々子どもたちと共に学んでいます。子どもたちに教えてもらった大切なことを、読者の皆様と共有していければ幸いです。国語教師竹の会所属。
同じテーマの執筆者
-
兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
-
明光学園中・高等学校 進路指導部長
-
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
-
株式会社内田洋行
-
大阪府公立小学校 主幹教諭・大阪府小学校国語科教育研究会 研究部長
-
戸田市立戸田第二小学校 教諭・日本授業UD学会埼玉支部代表
-
小平市立小平第五中学校 主幹教諭
-
兵庫県公立小学校 教諭
-
明石市立錦が丘小学校 教諭
-
木更津市立鎌足小学校
-
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭
-
愛知県公立中学校勤務
-
大阪大谷大学 教育学部 教授
-
神奈川県公立小学校勤務
-
寝屋川市立小学校
-
明石市立鳥羽小学校 教諭
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)