2016.02.09
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毎日学ぶことばかり

京都教育大学附属桃山小学校 教諭 若松 俊介

日々、悩むことばかり

 毎日、悩むことばかりの教員生活。自分自身は一生懸命取り組んでいるつもりでも、何だかうまくいかないことばかり。そんな時、私はいつも周りの先生方に助けられています。(もちろん家族や友人・子どもたちにも助けられています。)

 本当にたくさんの先生方からのお声かけ、アドバイスに救われてきました。いただいた言葉を噛みしめていく中で、少しずつ自分の教育観も磨かれてきているのかなと思います。

 今回は、今もずっと心に残っている5つの言葉を紹介したいと思います。書くことにより、改めて自分自身に目を向けていきたいです。

  

「子どもはできなくて当たり前」

 教師1年目の時です。「きちんと授業を進めるには?」「そうじをきちんとできる子にするには?」と、子どもたちにどう指導すればいいのか分からない日々。「こうしないといけない」「こうならないといけない」と強く思い過ぎ、自分にも子どもにも「できる子ども」を求めていました。

 そこからズレると強く怒っていることもしばしば。基準もよく分からない「できる子ども」という考えが、子どもも自分も苦しめていたのだなと気づきました。

 大人である私自身もできないことばかり。子どもたち一人ひとりの「今できること」を大切にして、もっとゆるやかに、しなやかに伸びていく場をつくっていきたいなぁと思えるようになりました。

 

「教師がワクワクせんと」

 これも教師1年目。この言葉から、授業観を教えていただきました。

 教材研究をしっかりすることはもちろん、どんな手立てを打っていくかもしっかり考えていく。「子どもたちは、どんな反応するかなぁ」とイメージする。ただ、それだけでなく、授業をしている教師自身がワクワクするものじゃないとダメだと。

 確かにそうだなと思いました。自分がおもしろいと思ったことを子どもと一緒にどのように学習していくか。子どもの反応からも教師自身も学ぶことがきっと出てくるし、こういったものであれば子どもに気づいてほしいことと子どもが気づいていることをつなげていくこともできるんだなぁと思いました。

 もちろん自己満足で終わらせてはいけませんが・・・。

 

「『待ってました』で出るな」

 2年目、国語の研究会で3年「ちいちゃんのかげおくり」の実践発表をおこなった時のことです。聴き合い、話し合いの授業を文字起こししたものをたくさんの先生方に読んでもらいました。

 一人学びの段階で、「ちいちゃんは幸せ、不幸せ」について本人と読み手のとらえ方の違いについて考えている子がいました。聴き合い、話し合いの中で、その子の意見が出てくるといいなと思っていたのですが、そのことを思い過ぎて、その子が発言したとたん、すぐに全体課題にしてしまいました。「この考えが出たら、全体の読みが深まる」と前から考えていたのですが、周りの子どもにとってはいきなり出てきた課題でした。(その子の考えが)もっと子どもたちのものになってから全体の課題にしても良かったなぁとふり返りました。

 教師は、子どもたち一人ひとりの思考の過程をしっかりと受け止めながら、全体での学びをつくっていかなければならないなと思いました。

 

「全部、『自分のせい』とかおこがましい」

 3年目。少し学級経営ができてくるようになってきてからのこと。(それも勘違いだが・・)職場の先生方と、学級の子どもが放課後に起こした問題について話をしていました。

 「自分の指導のせい」「もっと頑張らんとあかんなぁ」という話をしていたと思います。そこでこの言葉をいただきました。

 これもやはり「確かになぁ」と。自分をふり返ることは大切なのかもしれないけど、自分が全て請け負っていると思ったら大間違い。同じ学校の先生や、家庭などその子にはいろんな人が関わっている。大きく勘違いしていました。

 みんなで見るからこそ見えることがある。「みんなで見よう」と思うからこそ、より見えることがある。「自分が」になるといろんな世界を狭くしてしまうんだなぁと思いました。

 

「何が大事かって、そりゃいつも目の前の子ども」

 教師8年目(現在)。いつもいろんな人からアドバイスをもらえます。とてもありがたいことですね。

 ただ、自信のないところでアドバイスをもらうと、さらに不安になってきて・・。そして、色んな人からアドバイスをもらえばもらうほど、どのアドバイスを活かしていけばいいのか分からなくなりました。どれかを活かすとどれかを無視していることになるのでは・・・と。自分の中に芯があるものだとそうはならないですが。

 でもやっぱり大事なのは目の前の子ども。悩んでいる私にこの言葉をくださりました。分からなくなったら目の前の子どもをよく見て、どうするのかを考える。これは当たり前、基本だなぁと。どのことでも同じですね。

 シンプル。大切なのは目の前の子ども。

 

 こうやってふり返ってみると、たくさんの先生方のアドバイス、声かけに支えられているなぁと思います。

 今回紹介した5つの言葉だけでなく、本当にたくさんの先生方からのお言葉、アドバイスで今の私は成り立っています。

「こんな自分になりたいな」というものは日々更新されていきます。

 残り30年の教師人生をかけて、そんな自分になれるかどうかは分からないけど、とにかく今できることをコツコツと積み重ねていきたいなぁと思います。

 毎日とてもワクワクします。

 これからもどうぞよろしくお願いいたします。

若松 俊介(わかまつ しゅんすけ)

京都教育大学附属桃山小学校 教諭
「子どもが生きる」授業を目指して、日々子どもたちと共に学んでいます。子どもたちに教えてもらった大切なことを、読者の皆様と共有していければ幸いです。国語教師竹の会所属。

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