2016.03.25
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小学校入学に向けて,気にかけたい12のこと

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV) 関田 聖和

 もういくつ寝ると,小学校……(苦笑)

新一年生入学へ,カウントダウンですね。

私も毎年,楽しみにしています。

 

 

自分のことを1人でできるかな

 時折,

「小学校入学までに何をできるようにしていればいいですか。」

と聞かれることがあります。わたしは,次のことを答えています。

キーワードは,「自分で」です。

 

1.早寝・早起きをする

 早寝・早起きをすることで,子ども自身のリズムも確立されます。

特に午前中は,楽習に一番集中できる時間です。

睡眠は,学習の定着には欠かせません。現在の脳科学では,寝ている間に,

脳の中で学んだことを高速回転で整理すると言われています。

個人差はありますが,10時間の睡眠を取りたいものです。

 

2.身支度ができる

 脱いだ服をたたんだり,脱いだ靴をそろえたりすることです。

体育の服装や給食当番のエプロンを着替えます。

 その時に,服をたたんでおくことは,次の準備に取りかかれるだけでなく,

友だちのものと混ざらず困らないことにもつながります。

 

3.毎日の朝ごはんを食べる

  朝ご飯は,1日の活動のエネルギーです。

食べないで登校すると,脳のはたらきが悪く,

集中力が低下します。

 また,体温が上がらず身体を動かしにくくなります。

 

4.トイレで用を足す

 自分でできるということは,小学校だけでなく,幼稚園,保育所(園)でも,

大切なことです。

 まだまだ洋式トイレの設置が少ない学校もあります。そうです。和式です。

練習できるようなところがあれば,試みてみましょう。 

 

5.あいさつ・返事をする

  コミュニケーションの基本は,あいさつです。

これは,保護者の方が,お子さんにさわやかなあいさつを続けるだけで,

できるようになります。

 

6.名前を言える

  「あなたは,だあれ。」

と聞かれたら,自分の名前を言えることは,友だちづくりの第一歩です。

「ひでくん」

などと,名前のみで答えてしまうことも……。

姓名で,言えるように教えておきましょう。

 

7.名前を書くことができる

  「字を書くことは小学校に入ってから……」

と言われる学校もありますが,名前ぐらいは,

読めて,書けるようにしておきたいものです。

それだけで,ぼく,わたしは,「字が書けるんだよ。」と,

自尊感情が高まります。

 

8.自分で着替えができ,脱いだ服をたたむ

 幼稚園,保育所(園)は,もちろん,小学校生活でも,

衣服を脱いだり来たりという活動は,あります。

体操服や給食のエプロンなどです。

 脱いだ服をたたむということは,経験を積んで行く中で上手になります。

普段着ている服をたたむことを練習しておくこともいいでしょう。

 最初はうまくいきません。できたところを褒めていくようにしたいものです。

 

9.したいことをはっきり伝える

  「トイレに行きたい」だけではなく,

「発表したい」

「○○で遊びたい」

など,したいことを伝えることは,意思表示の手段として,

できるようにしたいものです。

 しかし,性格により,なかなか言えない子どももいるので,

焦りは禁物です。

 また,「して欲しくないことを伝えること」も,できるといいですね。

「やめて」の一言は,いじめなどに,発展しない可能性をもっています。

 さらに,したいことの我慢を短い時間できる態度も大切ですね。

5分間我慢できると,立派です。

 

10.登下校の道を歩くことができる

  家から学校までの通学路をお子さんといっしょに歩いて見ましょう。

子どもと一緒に歩きながら,危険箇所の確認や車などの交通量を把握するのです。

そうすることで危険回避することができます。

 ポイントは,子どもの視点で!です。子どもの目線に合わせて,

しゃがんでみましょう。意外な危険箇所を発見するかもしれません。

 学校行事にも,保護者が歩いて参加することで,地域にも

よい影響を与えます。

 昨今では,不審者の情報が届くことでしょう。

知らない人にはついていかないこと,子ども110番のステッカーを見つけて,

ここに知らせるんだよと言うことも教えておきましょう。  

 

11.おうちの手伝いをする

  「新聞を取ってくる」「靴を並べる」「テーブルを拭く」

などの簡単なお手伝いでかまいません。

 家族のために,役に立っているんだということの体感は,

心の成長の上で,大切なことです。

 家族の一員として,役割を担うことは,自立心を育てることでしょう。

小さな責任を果たすということを学ぶ機会になることでしょう。

 

12.地域でつながりをもっておく

  学校によっては,登下校を見守る方々がおられる場合があります。

その方々と顔つなぎしておくこともいいかもしれません。

 子どもたちが登校する時間帯にしかお会いできないので,

働いている保護者の方々は,難しいかもしれません。必ず!という項目では,

ありません。 

 

 

できたから大丈夫。できなかったから心配ではない! 

 子どもにも波があります。調子がいい時・そうでない時がありますよね。

できた時には,ほめてあげてください。スキンシップのチャンスでもあります。

 また雰囲気でしないこともあります。

子どもは,楽しいと感じれば取り組むものです。

 中には,大きく環境が変わるせいで,不安になるお子さんがいます。

学校の事前の下見や入学式会場に出向いて,お子さんと一緒に確認することも

よいでしょう。

 その時の窓口は,教頭や特別支援教育コーディネーターが対応してくれることが

多いです。 

 

 

失敗しても温かく

 4月は,幼稚園・保育所(園)13か月目

なのです。私がよく若い先生方に,焦らずにね……と話すことです。

新一年生は,強く意識した方がいいのかもしれません。

 

 多くのお子さんの大切な環境,場所が変わるのです。これは,大人でもすぐには,

なかなか慣れないのと同じです。異動や就職した手の1か月は,どことなく緊張感も

あることでしょう。6,7歳の小さな子どもであれば尚更です。

 

 だから,失敗しても温かく見守りたいものです。

ここの「見守る」は,放任ではありません。

無事であるように注意しながら見,なりゆきを気をつけながら見るのです。そして,

目を離さずにじっと見守るのです。

 

 新一年生,楽しみです。早く入学しておいで!

いっしょに,べんきょう,あそびをしようね。

 

 

 

 

いっしょに,学びましょう!

 

2016年4月3日(日)神戸市開催 講師 中尾繁樹先生・大江浩光先生

http://kokucheese.com/event/index/349140/

 

2016年4月9日(土)芦屋市開催 月刊「楽笑」4月号 講師 阪神教育サークル楽笑メンバー

http://www.kokuchpro.com/event/rakusho/

関田 聖和(せきだ きよかず)

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。

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