18期のつれづれ日誌では、これまでの私の教師生活で大きな影響を与えられた言葉について書いてみようと思います。これまで、多くの先生方からたくさんの言葉をいただきました。そして、それは今でも私の胸に刻まれ、現在の教師としての活動につながっています。それらの言葉を思い返し、私自身が教師の原点に戻ってみたいと考えています。
最初の言葉は「主体変容」(しゅたいへんよう)です。これは、元公立中学校カリスマ体育教師で現在、社会人や現職教員の教育に携わっている、原田隆史先生の言葉です。原田先生は、現職教師のために東京と大阪を中心に教師塾を開き、教師として大切なことを教えてくださっています。私も、原田先生の教師塾に参加し、多くのことを学びました。そこで学んだことの一つが「主体変容」です。
「主体変容」とは、自分が変わるということです。人はなかなか変えることができません。しかし、自分がまず変わることで相手に大きな影響を与えることができると原田先生はおっしゃいます。
私自身、この言葉を胸に行っている活動があります。それは、毎朝の児童とのあいさつ運動です。これまで10年以上続けてきました。前任校では教室にいなければ心配な児童がいたために休止していましたが、現在の学校に赴任してからまた再開しました。児童が登校する7時45分になると昇降口に立ち、登校してくる児童にあいさつをしています。
しかし、あいさつ運動を始めたころからの悩みなのですが、こちらがあいさつをしても児童からなかなかあいさつが返ってきません。最初のうちは、
「どうしてあいさつを返さないのだろう?」
「近くの大人はあいさつを教えないのだろうか?」
と考え、あいさつに身が入らなくなることも多くありました。以前勤めた学校では、6年間ほとんど毎日あいさつをしても、一度もあいさつを返さなかった児童もいました。そのようなこともあり、何度かあいさつ運動をやめてしまおうと思ったこともありました。
「主体変容、気づいて変われ!」
原田隆史先生の教師塾で、そう教わったときに私の中で何かが変わりました。「これまでは、児童は教師である私にあいさつを返すのが当然だ。あいさつをしないのはおかしい。」と思っていました。しかし、大切なのは、私が児童にどれだけ心をこめてあいさつをしているかなのではないかと考えるようになりました。
学校の中では、児童とあいさつゲームをしてどちらが先にあいさつをすることができるかを競いながらあいさつをする習慣をつけている先生がいます。また、一人ひとりの児童にあいさつだけではなく、一言声をかけながら児童と接している先生もいます。私も何かを変えなければと考えるようになりました。
現在行っているのは、あいさつをして、その児童のことで気づいたことを一言付け加えるようにしています。
「おはよう!かっこいいくつだね。」
「おはよう、昨日は練習頑張ったね。」
などです。まだまだ、児童から返ってくるあいさつは多いとはいえませんが、まずは私自身が最高のあいさつをできるようにしていきたいと思います。
「主体変容、気づいて変われ!」です!

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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