(バイブルにしている原田先生の著書)
ここ数年、高学年の担任から遠ざかっているため、高学年の児童と一緒に活動できるのが、委員会活動やクラブ活動そしてたて割り活動ぐらいになっています。しばらく、授業や生活指導で高学年の児童とかかわり合っていないため、自分自身の高学年児童に対する感覚がずれてきていると感じた出来事がありました。
先日、勤務する学校でたて割り活動がありました。たて割り活動とは1年生から6年生までがグループを作り、一緒に楽しむ活動で、学校でとても大切にされている活動です。この日は6年生が中心となってみんなで楽しめるゲームなどのレクリエーションをしていました。
ゲームが始まって少しすると、5年生の児童がゲームに参加せず教室の隅の方でふざけあっていました。そこで、今はみんなで楽しむ時間なのだからと注意すると、なぜ注意されているのだというような口ぶりで文句を言ってきます。そこで、腹を立てた私はかなり強い態度で指導をしました。すると、一応は言うことを聞くようになり、ゲームにも参加するようになりました。しかし、この時の指導を振り返ると、「あれで本当によかったのか」という思いが残りました。
そのようなとき、私は自分の中のモデルに問いかけるようにしています。私がモデルにしているのが、元中学校教師でカリスマ体育講師と呼ばれた原田隆史先生です。原田先生は荒れた学校を立て直し、陸上部の顧問として7年間で13回の日本一を出した伝説の教師です。現在は原田教育研究所の所長として企業などの研修でも指導されています。また、現役教師にも教師塾を開いて指導をしてくださっています。私も以前、原田先生の教師塾で学んだことがあります。
今回、5年生児童への指導の後に、「もし原田先生だったらどのように指導しただろうか・・・」と考えていました。すると、いくつかの答えが浮かんできました。きっと原田先生なら、たて割り活動の始まる時に、5年生6年生の児童を呼んで、「君たちはこのグループのリーダーだ。だから、自分たちも楽しみながら、低学年の子たちも楽しめるようにしてほしい。それが君たちの役割だ。」と、事前指導をしたと思います。そして、もしふざけている様子が見られたら、個人的に「それは、リーダーとしてふさわしい行動か?」と問うようにすると思います。私の場合、ふざけている様子を見て急に叱ったので、叱られた児童もただびっくりしただけで、自省することは無かったのではないかと思います。やはり、事前指導をきちんとしておくべきであったと感じます。
これからも今回のような場面では、モデルである原田先生だったらどうするかということを考えて指導にあたってみたいと思います。自分の中にあるモデルを大切にしていきたいと思います。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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