2015.08.17
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『「Do」と「Be」を意識する』

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

 

  担当する学級で、年度当初より態度教育に力を入れています。「机を揃える」「あいさつをきちんとする」などという基本的なことを大切にすることで、児童の心も豊かに成長していくのではないかと考えているからです。特に、下校するときの上履きそろえは、私の方で毎回確認するようにして児童に声かけをしています。もし、上履きがそろっていない児童がいたら、

 「くつをしっかりとそろえよう。もう一度やり直し。」

とやり直しをさせます。毎日の取組の成果が出て、1学期の終わりになると年度当初に比べて、全体的に上履きがきれいに整頓されている児童が多くなってきました。

 

 しかし、まだ上履きをそろえるのが苦手な児童もいます。早く帰りたいためか、上履きを下駄箱に投げ入れるようにして出ていこうとする子もいます。先日、その児童に声をかけました。

すると、「なんで?」と不満そうな顔・・・

「上履きがそろっていると君の心もそろうよ。そして、みんなの心もそろうよ」

そう声をかけると、仕方なさそうに履こうとしていたくつを蹴飛ばして上履きのところに戻って行きました。そして、不満そうな顔で帰って行きました(写真左)。

 このようなことがあると、以前の私は「なぜ、大切なことを指導しているのに言うことを聞かないのだろう」「なぜあんな態度になってしまうのだろう」と思っていました。そして、次から指導をしにくくなり声をかけなくなっていました。

 

 しかし、先日、恩師である元カリスマ体育教師・原田隆史先生(現原田教育研究所)に指導をするときには≪「Do」=こうさせたい≫だけではなく、≪「Be」=こういう人間でいてほしい≫の2つの視点を意識することが大切であるということを教えていただきました。これまでの私は、「Do」ばかり気にして、指導している児童ができるかそうでないかばかりに目を向けていました。もっと、「Be」の視点にも意識を向けていれば、たとえ児童に反抗されても、「自分はこの子に○○になってほしい。だから今指導をしているんだ」と信念をもって指導を続けられると気がつきました。

 

 このことに気づいてから、上履きをそろえられなかった児童への声かけが変わってきたように思います。するとある日、(偶然かもしれませんが)その児童の上履きがそろっていました。次の日に笑顔で褒めてあげようと思いました(写真右)。

 

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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