2015.07.10
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『成果が目に見えるように』

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

 

  数年前より、担当する学年で「辞書引き学習」に取り組んでいます。辞書引き学習は、中部大学准教授である深谷圭助先生が提唱されている学習法で、辞書から知っている言葉を見つけて、ふせんを貼っていくという学習法です。小学校低学年からも取り組むことができ、語彙力が向上するだけでなく、自分で調べるという学習の型を身につけることができることが報告されています。

 

 私自身も辞書引き学習を実践していて、児童が自ら学ぶ姿勢を身につけられていることを実感しています。例えば、辞書から「山椒魚」などの難しい漢字を見つけることに挑戦している児童、または、「心」がつく言葉をたくさん集めている児童、そして、長い言葉をたくさん探している児童など、それぞれが自分の興味関心に合わせて学習に取り組んでいます。このような学習を積んだ児童が、授業においても多くのことに興味をもち、進んで調べていこうとするようになると考えています。

 

   また、辞書引き学習のよさとして「自分のがんばりが目に見えてわかる」ということも挙げられます。児童は知っている言葉や調べた言葉などにしるしとしてふせんを貼っていきますが、そのふせんが増えてくると辞書がどんどん膨らんできます。また、ふせんの色が混ざってきれいな色になってきます。それを見ることで児童が自分のがんばりを自分で感じることができ、さらに学習を進んで行う動機づけにもなると考えています。児童は、

「先生、ふせん2000枚を達成したよ!」

「先生、今日だけで100枚もつけたよ!」

と、いつもうれしそうに報告に来てくれます。今年度からは、辞書引きカードを作り、ふせんが100枚付くごとにシールを貼り、3000枚を達成した児童を「辞書引きマスター」に認定しています。私のところに毎日のように、うれしそうにカードを持ってシールをもらいに来ています。

 

 今年度の終わりに、もう一つ児童のがんばりを目に見える形で表したいと考えています。それは「重さ」です。児童が活用している辞書は最初に630グラムほどありました。児童がふせんを付けていくたびに辞書がどんどん重くなってきます(写真右)。3学期には算数の学習で「重さをはかる」活動がありますので、その学習の中で膨らんだ辞書の重さをはかり、最初の630グラムからどのくらい増えているかを確認したいと考えています。その増えた分が児童のがんばりの重さであると説明したいと思います。おそらく、児童は進んで重さを測る活動を行うのではと考えています。今から楽しみです。

 これからも、辞書引き学習を積極的に進め、児童の興味関心を高めながら、各教科においても様々な活用を図っていきたいと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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