2015.06.23
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「尊敬する指導主事」

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

 先日、久しぶりに研究授業を行いました。私の勤務するさいたま市では毎年、教育委員会の計画訪問というものがあります。市教委の指導主事が学校に来校し、全教員の授業を参観します。そして、数名の教員の授業を研究授業として、他の教員も参観し、授業後に研究協議会を行います。今回、私は理科の研究授業を担当し、実践に取り組みました。

 

 私は、研究授業を行う場合には、それまでの授業の様子や指導した内容、そして児童のノートやワークシートなどを記録しておき、研究授業までにまとめるようにしています。そして、指導をしていただく担当指導主事に授業前にお送りするようにしています。それは、単元のねらいを、これまでの授業でどのように実践してきたかということを授業前に知っておいてもらうためです。私自身、研究発表会などの授業研究会に参加する際には、授業を拝見していて、この授業の前にどのような指導をしていたかを知りたいと思うことが多々あります。授業を参観していただく方にこれまでの指導について知っていただいておくことで、授業後の研究協議会も大変有意義になると考えています。

 

 しかし、今回の取組では、指導いただいた指導主事の先生からあまり事前の授業についてのコメントをいただけませんでした。指導主事の先生は激務で、毎日のように学校訪問を行い、授業を参観したり指導したりしていて忙しいので無理もありません。ただ、私なりに今回の実践で大切にしたいと考えていたことにあまり言及していただけなかったので少々残念な気持ちになりました。

 

 そのようなこともあって、以前お世話になった指導主事の先生の事を思い出しました。以前勤務していた学校で食育の研究をしていた際に、指導者としてお世話になりました。その先生は、昔、体育主任のお仲間としてもお世話になり、体育経営についてもご指導いただいていました。また、研究会が行われる際の来校者への接待の仕方や、資料の準備の仕方など大変学ぶことが多く、私自身もいつかこの先生のようになりたいと思っていました。その先生が指導主事になり、私の授業の指導者になってくださったことを嬉しく思ったことが昨日のように思い出されます。

 

 当時、私は子どもたちが好き嫌いを少なくするための食育授業に取り組んでいました。好き嫌いの多い子どもたちに、バランスのよい栄養をとる大切さを実感させ、少しでも嫌いなものに挑戦しようとする気持ちになってもらおうと、授業を工夫して行っていました。

 そして、いつも通り、研究授業前にそれまでの指導資料を指導者である先生に送り、事前にこんな授業をやってみる予定であるということを知らせました。すると、その先生は、研究授業の日ではないのに、時間を作って私の授業を参観に来てくださいました。おそらく、仕事が忙しく時間の合間を縫って参観に来てくださったのだろうと思います。そして、数日後に、その授業の講評を伝えに再度学校に来てくださいました。

 

 指導は、大変具体的で「あの時の〇〇さんの発言だけど…」「あの時先生が言った〇〇という発問だけど…」と、単なる一授業について多くの指導をいただきました。私は大変感動したことを覚えています。

 

 その指導主事の先生も現在は某国立大学附属小学校の教諭になられました。授業についてご指導いただく機会が無くなってしまったのは残念ですが、これからもその先生から多くのことを学ばせていただきたいと考えています。 

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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