今年度、これまでの勤務校から新しい学校へ異動になりました。「異動は最大の研修」とよく言われますが、日々分からないことばかりで1日の仕事をこなすのが精一杯です。早く学校に慣れて、新しい取り組みを行っていきたいと思っている今日この頃です。17期の「つれづれ日誌」では、新しい学校で感じたことや取り組み始めたことなどを中心に書いていきたいと思います。よろしくお願いいたします。今回は、「教師のパーソナルポートフォリオ」についてお伝えしたいと思います。
私は新しい年度が始まると、文房具店に行き、60ポケットのクリアファイルを購入してきます。1年間で取り組んだことや得たものなどをどんどんファイルし、1年間の成果としてまとめるためです。「ポートフォリオ」については、シンクタンク未来教育ビジョン代表であり一級建築士でもある、鈴木敏恵先生が学校現場での導入を提唱しています。特に総合的な学習の時間など、自分でテーマを決めて取り組む学習や、自分の活動の記録として行くためのファイルとして活用することを勧めています。私も総合的な学習などで児童と活用するほか、自分自身の活動の記録として「パーソナルポートフォリオ」を作っています。私流の「パーソナルポートフォリオ」作りの手順は以下の通りです。
(1)クリアファイルを用意する。
まずは、お店へ行って多めのポケットがついているクリアファイルを買ってきます。私は60ポケットを使っていますが、10・20ポケットのものではすぐにポケットが埋まってしまうので、できるだけ多めのものを用意するのがおすすめです。
(2)ビジョンシートを入れる。
ポケットの最初のページに「ビジョンシート」、ここには今年度の取り組みとして「ビジョン」と「ゴール」を書きます。「ビジョン」は自分が教師としてどんな存在でありたいかということをまとめます。また、「ゴール」には、今年度やり遂げたいことを具体的に書きます。
<私の今年度のビジョンシート>
【ビジョン】
・さいたま市を代表するリーダー教師になる。
・自分の実践を全国に発表できる教師になる。
・日本の教育の発展に貢献できる研究をする。
・職場のだれにも信頼される教師になる。
(少々大げさですが、自分のファイルなので遠慮をしないで書くようにしています。)
【ゴール】
・学校の研究活動に貢献する→研究授業(公開授業)を3本以上行う。
・自分の実践を雑誌などで紹介する。
・放送大学大学院の修士論文を完成する。
・教育研究論文を3本応募する。
(3)実践したものなど何でも時系列で入れる。
ビジョンシートが完成したら、あとは自分で実践した成果や得たものをどんどんポケットに入れていきます。ここで大切なのは必ず時系列で入れていくことです。時系列で入れていくことで、後でファイルを見直したときに自分の成長を実感することができます。また、1年間の流れをストーリーとしてまとめることができます。
私が昨年度ポートフォリオに入れたものは以下のものです。
・実践した授業の指導案
・研究主任として作成した学校の研究紀要
・執筆した雑誌の原稿
・掲載された新聞記事
・子どもからの手紙
・教育実習生からの手紙
・校長からの人事評価シート
など、自分の教師としての活動に関わることを何でも入れるようにしました。
(4)折に触れてファイルを見直す。
ファイルを作り始めたら、時々見直すことも大切だと考えています。ポートフォリオには自分がやってきたことが足跡として残っているので、自信にもつながります。
(5)1年の終わりに今年の成果を確認して、次の年度の目標を定める。
年度の終わりに、ポートフォリオを見直します。私の場合は、その中でベスト10を選んだりしながら楽しんでいます。そして、今年度できなかったことやさらに来年度がんばってみたいことなどを具体的に考えるようにしています。
以上のように、毎年度ポートフォリオを作成して、自分の教師としての足跡を残すようにしています。ほんの少しずつですが、自分が教師として成長していることを感じます。これから新しい学校の先生方にもポートフォリオ作りを勧めていきたいと思います。そして、いつか、ポートフォリオを見せ合いながら、教育について語り合える日が来たらうれしいと思っています。今年度は学校の異動もあり、節目の年なので、これまでのポートフォリオを懐かしく眺めてみました。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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