通常学級で特別に支援を要する児童が多く在籍している場合、通常通りの指導ではうまく学級経営が成り立たないことがあります。そのような状況の中で私自身が取り組んだ実践を今期の「つれづれ日誌」では紹介しています。今回は、特別支援学校の先生が巡回指導で私のクラスを参観してくださった後にご指導いただいた特別に支援を要する児童が多く在籍する学級を受け持った際に取り組んでみた実践を今回の取り組みについて紹介したいと思います。
担任している学級では児童が人間関係をうまく結べずに些細なことで喧嘩になったり、学級全体で何かを行うということが苦手であったりしました。そこで、巡回指導でご指導をいただいた「児童にクラスの共通の目標をもたせる」ということに取り組んでみました。勤務校では毎年秋に読書月間があり、各学年で読書量を比べるという取り組みがあります。児童が学校図書館で本を借りると、その学年のカードがもらえます。それを図書館の外に掲示してあるコーナーに貼り付けます。多く本を読んでいる学年はたくさんのカードが張られます。そして、成績がよかった学年には本がもう一冊借りられる「おかわり券」がもらえたり、クラスに賞状がもらえたりします。この企画を活用して、児童に共通の目標をもたせてみようと思いました。
児童に「先生は、読書量チャレンジで学校1番になってみたいんだ」と投げかけると勝負事の好きな児童は「ぼくもなりたい!」「私もなりたい!」と乗ってきます。そこで、学校で1番になることをクラスの目標として設定して、活動を始めました。
活動を始めると、クラスにいろんな変化が起きました。例えば、
・クラスの友達の悪いことばかり指摘していた児童が、友達が本を一生懸命に読んでいるということを報告してきた。
・いつもほとんど笑顔で話さない児童が、うれしそうに「カードが増えてきた!」と報告してきた。
・帰りの会で、みんなががんばったのでカードが増えているということを報告する児童が出てきた。
・友達同士で休み時間も仲良く学校図書館に行く児童が出てきた。
・児童の会話の中に読書量チャレンジの話題が出てくるようになり、肯定的な言葉が増えてきた。
などです。これ以外にも気がつかないところできっといろんな変化が出てきていると思います。きっと共通の目標ができたことで、友達のことを認めていこうとする意識が芽生えてきたのだと思います。これからも、この取り組みを起点として、児童が全員共通に取り組める目標を立て、それに向かってがんばれるような指導をしていきたいと考えています。
(写真は読書量チャレンジの掲示物です)

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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