特別に支援を要する児童が多く在籍する学級を受け持った際に取り組んでみた実践を今回の「つれづれ日誌」では紹介しています。現在、つれづれ日誌では特別支援教育の専門家の先生方が、専門的な見地から特別支援教育について実践を紹介してくださっています。私の場合は必ずしも理論等裏付けされたものではありませんが、通常学級において、特別に支援を要する児童が多く在籍する学級を担任した際の経験にもとづいて効果があったことを紹介しています。
今回は、「社会との関わりを感じさせる授業」について述べてみたいと思います。特別に支援を要する児童が多く在籍しているクラスにおいて困難となる事柄として、児童の興味関心が続かずに授業中に集中できなかったり、おしゃべりが止まらなくなったりすることが挙げられると思います。授業を行っていて集中が続かなかったり、おしゃべりをしてしまったりする児童がいると、他の児童の集中も妨げてしまい、授業をうまく進めることができなくなってしまいます。そこで取り入れているのが、社会科見学などを通して学校以外の場所で人に会う機会を作ることや、ゲストティーチャーとして学校の外部の方を講師としてお呼びする取り組みです。
例えば、児童が社会科でスーパーの仕事について学習する際には積極的に地域のスーパーの協力をいただき、実際にスーパーで調査活動をする授業を行いました。スーパーにはお店の人やお客さんなどたくさんの方がいらっしゃいます。その中で児童はきちんとした態度で見学を行わないと人の迷惑になってしまうということを考え、そのために必要な行動をとるようになります。やはり、学校を出て社会の中に入ることで、自分の行動を省みることができるのではないかと考えています。
また、教室にゲストティーチャーをお呼びすることもあります。特に、単元の内容について詳しい新聞記者さんに来ていただき、取材をした記事について紹介していただくことなどを行っています。実践では、動物に関する教材の学習の前に、動物についての取材経験が多い記者さんに来ていただき、取材をした内容などを説明していただいたりしました。また、防災教育を行う際には、東日本大震災で被災地を取材した記者さんに来ていただきました。いつもは、話をあまり聞けない児童も、記者さんの話を真剣に聞くことができました。やはり、記者さんの話の中にリアルな社会の様子が感じられるので、児童が興味を持つことができたのではないかと考えます。
これからも、積極的に社会との関わりを感じられる体験を行うようにして、児童の興味関心を高められるようにしていきたいと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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