2014.12.02
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『新聞コラムの書き写し』

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

  これまで、落ち気がなく授業に集中できない児童が多いクラスを担任したことがありました。授業が始まっても教科書やノートを出せなかったり、おしゃべりをやめることができなかったりする児童が多く、授業を成立させるのが困難なことがありました。そこで、取り組んだ方策の一つに「新聞コラムの書き写し」があります。児童は、普段の生活の中であまり物事に集中して何かに取り組む機会がありません。そこで、5分ぐらいの短い時間で1つのことに集中することを体験させるためにこの取り組みを始めました。

 

 児童にはまず、小学生新聞のコラムを読んで聞かせます。コラムの内容は最近話題になっていることが多く取り上げられているので、どの児童も興味をもって聞いています。そして、読み聞かせをした後に、コラムの書き写しに取り組ませるようにします。書き写しの時間では、いつもは落ち着きのない児童もこの時間は静かに集中してコラムを書き写すことができています。

 

 コラムの書き写しに集中して取り組める理由として以下のように考えています。

 

(1)  新聞コラムの内容自体が興味関心のある内容なので、書き写しにも集中できる。

(2)  5分という短い時間なので、活動の見通しをもつことができ、書き写しに集中できる。

(3)  毎回、かけた字数を数えているので、前回の自分と競争するつもりで取り組めるので、書き写しに集中できる。

 

毎回、書き写しが終わると、児童は感想を話しに来てくれます。

 

「先生、マスいっぱいに書き写すことができたよ!」

「先生、書き写すと書いてあることがよくわかるようになるよ」

「先生、このコラムにタイトルをつけてみたよ」

 

どの児童も、活動をやりきることができたことで満足そうな表情を見せます。

 

 このように、新聞コラムの書き写しなどを中心に、児童が集中して物事に取り組める時間を増やしていくようにしていきました。少しずつですが、授業中の集中度も増し、授業中の態度もよくなってきました。「新聞コラムの書き写し」は児童の集中力を高めていくのに大変効果的であると考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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