前回から新年度の学級づくりについて、「整理整頓・掃除」の指導を紹介しています。今回はその2回目で掃除についての指導を紹介したいと思います。
掃除の指導は学級指導の要のひとつだと考えています。それは、環境をきれいにすることが児童の心の安定にもつながると思っているからです。雑然とした教室やゴミだらけの廊下では落ち着きません。環境の荒みが子どもの心の荒みとなって表れる場合もあります。そのようなことから、年度当初にはきちんとした掃除指導が必要だと考えます。
これまで担任してきた学級では掃除があまり得意でないことが多かったように思います。その原因として、「手順を知らない」ことと「掃除を一生懸命にやるモデルを知らない」ことが挙げられると感じていました。そこで、児童に掃除の手順をあらかじめ示し、教師も一緒にその手順で掃除を行うようにしました。一緒に掃除をしていると、児童をたくさんほめてあげることもできます。掃除の時間が貴重な児童とのコミュニケーションの時間にもなります。
また、掃除を一生懸命に行っている姿をモデルとして子どもたちに示すことも大切だと考えています。できれば、上級生の掃除の姿を生で見させるのがよいと思います。私の場合は中学生の掃除の様子をテレビで観させるようにしました。そのクラスでは、放課後に全員掃除を行い、一人一役の仕事を着実に行うようにしています。全員で一斉に行う掃除の姿は圧巻です。児童にその様子を見せることで、掃除をする素晴らしさを感じてほしいと思いました。
児童に掃除の手順や、中学生の掃除の姿を観察するための視点を示すために、年度当初から活用している「学級の教科書」を活用しました。内容は以下の通りです。
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<掃除活動の流れ>
1 そうじ場所に集合(役割の確認)
2 そうじ開始(もくもく!すみずみまで!)
3 そうじ用具のかたづけ
(かたづけまでがそうじです。)
4 用具の確認(きれいにかたづいていますか?)
5 反省会(今日のそうじについて反省会をしよう)
<そうじが上手な中学生の教室から・・・>
このビデオは中学校のあるクラスのビデオです。そうじの様子をビデオにとっています。このクラスは成績が学年で1番・運動も1番だそうです。そうじしているすがたからそのひみつを探ろう。
[児童の感想から]
・全員が自分の仕事をしっかりと行っていた。
・みんな真剣に掃除をしていた。
・みんなが一斉に動いているから、とてもスピーディーだった。
・あんなに早く教室掃除が終わるなんてすごい。
・教室がとってもきれいになっていた。
(『菊池学級教科書』26年度版より)
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このように、掃除についての意味づけをしたら、あとは実践あるのみです。教師も一緒になって、毎日の掃除をやりきっていくことで子どもたちの掃除力が向上してくると思っています。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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