2014.06.09
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ねことねっこ

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV) 関田 聖和

「ねこ。」

「ねっこ。」

と,促音,いわゆる特殊音節の「っ」や「ゃ」の指導で聞こえてくる言葉です。

この拗音の指導では,ひらがな指導の中で,全員が一発で,読んだり書いたり

することができるようになるという話は,聞いたことがありません。

でも,うまくいく方法があるのです。

なぜ難しいのか

 促音の「っ」や「ゃ」「ゅ」「ょ」の拗音などの特殊音節を話すことは,

特別な場合を除き,そう難しくありません。

 しかし,特殊音節を読んだり書いたりすることで,

内容を理解したり,

知りたい情報を得ることができます

 だから,子どもたちがつまずいてしまう前に,

早い段階で指導したいものです。そして効果的に……。

 

 

一対一対応ではない……

 「あ」は,1音です。1つの文字に対して1つの音が基本的なルールですが,

特殊音節はそうはいきません。

 例えば,「ねこ」は,2つの音です。

でも,「ねっこ」は,「ねっ」+「こ」 の2音。

でも文字にすれば,3文字になります。

 また,「せんしゅ」では,4文字で書くのですが,

「し」+「ゅ」で,1音となるため,3音で表現されます。

 このように特殊音節は,

文字と音が一対一対応しないため,

頭の中で文字と音を一致させたり,

操作したりすることが苦手な子どもたちにとっては,習得が難しい学習となるのです。

 

 

そのうちに身につく……のではないのです!

 保護者や先生の中には,

「今は言えなくてもそのうちに身につきますよ。」

とおっしゃられる方がいます。

もちろん,間違いではありません。

しかし,

「読み先習」

と言われるように,まず「読む」という学習は,とても大切な事柄です。

読むことができること,学習が成立していくとも言えます。

従って,「読む」は,

どの学習においても基本となる事柄

です。その「読み」ができていなければ,様々な学習で躓いてしまうことになるのです。

身についたときには,その時に読んで理解しておきたい事柄が,後回しになったり,

身につくまでに,学習に対して嫌悪感を感じるようになっては駄目なのです。

だからこそ,効果的に指導したいのです。

 

 

読みのアセスメント・指導パッケージ

 うまくいく方法の一つとして,

多層指導モデルMIM

「読みのアセスメント・指導パッケージ」(Gakken)
http://gakkokyoiku.gakken.co.jp/tokubetsushien/3072004.html

という教材があります。国立特別支援教育総合研究所の海津亜希子先生がまとめられたものです。

その指導の中の一つ,手を使って,指導しています。

たとえば,上記の「ねこ」と「ねっこ」。

「ねこ」は,1音ずつ手をたたき,」

「ね」(パン)「こ」(パン)

「ねっこ」は,特殊音節「っ」があるので,

「ね」(パン),「っ」,(グー),「こ」(パン)

とするのです。

これを数回繰り返します。

すると,手拍子の音(聴覚)と文字を見て(視覚),

そして手の動き(運動)の3つが情報として重なり,覚えることができます。

3つの学習型を入れた授業の組み立てを
http://www.manabinoba.com/index.cfm/8,18022,21,177,html


にもあるように,視覚,聴覚,運動型の学びにもリンクします。

もちろん,その他,長音などの特殊音節の指導も掲載されています。

ぜひ手にとってみられることをお勧めします。

 

関田 聖和(せきだ きよかず)

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。

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