毎年、担任するクラスの児童に担任としての思いを伝え、よりよいクラス作りを行っていくために「菊池学級教科書」というものを配布します。学活の時間を軸に態度教育や価値観教育を行っていく際に使用します。また、児童自身が自分の感じたことなどを書き記し、1年間の思い出として作り上げるアルバムのような機能も備えています。今回から数回にわたって、この「菊池学級教科書」を紹介したいと思います。
[第1章] 先生はこんな先生です
(1)自己紹介
(2)先生の夢
(3)こんな指導をします
まず、第1章では、私の自己紹介を書いています。学級開きで自己紹介をするのですが、話し言葉だけではなく、自分のことを児童によく知ってもらうために、自己紹介を書いています。そして、クラス作りに対する思いと、私がこのような指導をしていくという教育理念も示すようにしています。
24年度版の教科書には以下のように、私の夢をしましました。
「先生は先生になって今年で14年目になります。これまでたくさんの子どもたちと出会ってきました。みんなとってもよい子たちでした。今年度みなさんと出会えたことを幸せに思います。先生の今の夢は一人ひとりが輝く、クラスをつくりたい!ということです。みんなの瞳・心・汗がキラキラしている・・・そんなクラスづくりをしていきたいです。みなさんとすごす1年間がどんなにすばらしいものになるか、今から楽しみにしています。」
学級開きに担任が自分のクラス作りに対する思いを語り、そして学校生活の節目節目でそれを児童とともに確認できるようにする必要があると感じています。児童にみえる形で示しておくことでそれが可能になると考えています。
[第2章]みんなでクラスを作ろう!
(1)クラス目標を作ろう!
(2)クラスのブランドを作ろう!
(3)生き方モデルを見つけよう!
第1章で担任としてのクラス作りの心構えを示しました。2章は児童が自分でどのようなクラスを作りたいのかを明確にする目的で書いています。児童同士で学級の目標を話し合い、その目標のために自分が何をすることができるかを具体的に考える活動を行います。直接教科書に書きこめるワーク式にしてあり、児童がこの教科書を自分の物にしていく第一歩になります。
また、クラスをまとめるために、クラスのブランド作りを進めています。例えば、「大縄とびが1番のクラス」「あいさつが1番のクラス」など、みんなの合い言葉にでき、1年間継続できることをみんなで決めるようにしています。
さらに、児童に自分の目標となる人を見つけてもらうワークもつけています。児童があこがれの人物をもつことで、具体的になりたい自分をイメージできると考えています。私の例として、24年度版では、イチロー選手・松井秀喜選手(当時)・三浦和良選手を挙げています。
クラスのブランド作りを勧めるページで以下のように示しています。
「いろんなお店や会社が社会の中にはあります。その中ですばらしい成績をおさめているところは、『うちはこれで勝負する!』というブランドがあるのです。みんなでいうと長所ともいえますね。クラスのブランドをぜひ作っていきましょう。どんなことにちょうせんしますか?」
クラスのブランド作りに取り組むことによってクラスへの帰属意識も高まってくると考えています。これらの1章2章で、クラス作りの基礎を固めるようにしています。
次回は、態度教育について、学習のルールについての項目を紹介したいと思います。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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