今年度担任している1年生のクラスで、NIE(新聞活用)を取り入れています。新聞は低学年では難しいという声もありますが、新聞記事の写真や大きな見出しを活用することで低学年でも十分に活用することができます。また、「新聞作り」は中学年の言語活動に位置付けられていますが、その基礎として簡単な形の新聞作りは低学年でもできます。低学年のうちから新聞に触れさせ、親しませることで中学年以降の新聞活用につながると考えています。
今回、国語科の「じどう車くらべ」という単元で新聞活用を行いました。様々な自動車の「つくり」と「しごと」を読み取ったり、それらを自分で調べて簡単な文章に表したりする活動を行います。この単元の学習の中で、まずは自動車に関する新聞を児童に提示することからはじめました。自動車に関する新聞写真を見ながら、児童はたくさんの自動車があることをあらためて認識しました。
そして、児童が調べた自動車について「自動車新聞」にまとめるという活動も行いました。簡単な絵と文と見出しで構成する新聞です。児童はこれまで、生活科の学習でも新聞作りを行っているので、それをさらに深めたいと考えました。そこで、登場いただいたのがプロの新聞記者さんです。記者の方に、新聞見出しの付け方を具体的に指導していただきました。児童がこれまで作った新聞の見出しを見ていただき、もしプロの記者だったらこう見出しを考えると児童に話していただきました。児童に示していただいた見出しの付け方のコツは、
(1)記事の中に書いてある言葉を使おう
(2)その記事だけの見出しにしよう
ということでした。児童の考える見出しは、例えば「かわいいうさぎ」などのようになることが多いのですが、記事を読むとウサギにかまれたことと、かわいかったことが書いてあります。そこで、「イタッ、でもかわいい!」という見出しを記者の方に例示していただきました。児童は、自動車新聞作りでもこのコツを生かして上手に書くことができました。
記者の方に指導していただいたことで、児童は一生懸命に新聞作りを行いました。上手に自分が調べた自動車の絵を描き、その説明文を書き、最後に見出しをつけます。全員がしっかりと新聞をまとめることができました。
新聞発表会では、「ぼくはキャリアカーの自動車新聞をつくりました。キャリアカーは動けない車を運ぶ仕事をしています。そのために、うしろにたくさんの自動車をのせられるようになっています。見出しは、たくさんの自動車を運ぶキャリアカーにしました。」と、しっかり発表することができました。
今回の活動を今後もさらに深め、低学年でのNIE実践に取り組んで行きたいと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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