2014.03.18
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手立ての見える個別の指導計画を

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV) 関田 聖和

 

  いよいよ年度末。

各校では,新年度計画が行われ,新年度の準備と

卒業,進級を始め,学年のまとめの時期です。それと合わせて行われるのが,

次年度への引継です。そのためのアイテムとなるのが,

個別の指導計画です。

 

 

慌てて作成!でも,OK!

 びっくりするような見出しですが,そうでもないようです。

一番定着しているのは,幼稚園,保育所だそうです。

まだまだ定着していないのは,中学校,高等学校だとのこと。

しかし,大学のセンター試験では,特別支援教育を受けた生徒への合理的配慮事項などが定まり,

慌てて個別の指導計画を作成しているところもあるそうです。

大切なことですので,慌ててでも作成されることは良いことです。

 

 

個別の指導計画ってなあに?

 さて,個別の指導計画ってなんでしょう。

まだ存在しない小学校もあるそうです。当たり前のように作成している

先生からすると,

「平成19年から必須でしょう!」

という言葉が返ってきたりします。そうです,特殊教育から特別支援教育に切り替わった年に,

個別の指導計画の作成の話題が大きく取り上げられました。

 個別の指導計画とは,

 小学校等においては,必要に応じ,児童生徒一人一人のニーズに応じた

指導目標や内容,方法等を示した「個別の指導計画」及び関係機関の

連携による乳幼児期から学校卒業後まで一貫した支援を行うための

教育的支援の目標や内容等を盛り込んだ「個別の教育支援計画」の

 

作成を進めること。

(初等中等教育局長、高等教育局長、スポーツ・青少年局長3局長通知)

 

 (平成17年4月1日))

とあります。

 個別の指導計画は,幼稚園・保育所,小学校,中学校と,1部ずつあります。

個別の教育支援計画は,主に保護者が作成し,進学ごとにそれをもって先生方や就職先ならば,

事業主と相談するためのものです。これは,保護者が作成し,1部しか存在しません。

 個別の指導計画の指導目標は,主に学習面と生活面とに分けられて定められます。

そして,長期目標として,1年ないし,2年で決めます。ポイントは,

~しない。

ではなく,

~することができる。

という文言にしたいです。

さらに,短期目標を定めます。学期ごとぐらいの期間にできるようにしたいことを

決めます。

 こちらは,具体的な目標を記します。

授業中立ち歩かない

ではなく,

決められた課題に取り組むことができる。

となります。

 

 

エピソードを引き継ぐ

 この年度末にするべきことは,目標の評価と共に,

エピソードの引継

が大切です。

 たとえば,

・算数の計算問題になると離席をするので,本人に予告をし,

 課題の半分のプリントを提示すると取り組んだ。

・×と板書したら,大声を出し始めた。

・漢字の筆順には,少し目をつむると,文字を書くことができた。

などのエピソードって,大なり小なりあることでしょう。

それを個別の指導計画に記すのです。

 できたことも大切ですが,手立てとして,うまくいかなかったことを記述しておくと,

次年度の担任の先生は,

同じミスをしなくて済む

のです。

 

 

二次障害につなげないためにも

 発達障害のある子どもたちにとって,わたしたちが気を配りたいことは,

二次障害につなげない

ということなのです。

 わたしも教師修業のために,各セミナーに出かけますが,たくさんの方が,一流と呼んでいる講師が,

「特別支援教育なんてただのラベリングだ。

 

 

 

 

 わたしは,そのような子どもがいても関係が無い。」

と言い切られ,愕然としたことがあります。

 そうなのです。その先生がうまくいってもダメなのです。

だから,個別の指導計画を作って,次年度へまたさらに次年度へ引き継いでいき,

その子どもの困り感が小さくなり,自尊感情が落ちることなく,高学年,中学生となったころには,

自分の特性に対しての手立てをもつことができるようになればいいのです。わたしたちが,たくさんの

電話番号が暗記できないから,携帯電話のアドレス帳を使うように……。

 

 

手立ての見える個別の指導計画

 前任校や本校では,Excelで作成した個別の指導計画を使っています。

もちろん上記の項目は,入力するのですが,チェックリストを取り込み,

そのチェックリストを行うと,手立ての一例が出るようにしています。(上記画像参照)

 手立てが見える個別の指導計画です(笑)

わたしが,各県や市の研修会でお話しした際には,会場にファイルを置いています。

お声をかけてくだされば,使用感を教えていただくということで,使っていただいてかまいません。

よろしくお願いいたします。

 直近では,このセミナーに参加します。

教材・授業開発研究所 in 兵庫 2014年春セミナー

平成26年3月29日(土) 開催です。

講師は,

関西国際大学の中尾繁樹先生(午前),

ほめ言葉のシャワーの菊池省三先生(午後)です。

 昨年度は,キャンセル待ちになりました。お早めにお申し込みを!

 

関田 聖和(せきだ きよかず)

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。

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