2013.10.04
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文章で話すことで,表現力を高める

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV) 関田 聖和

 まだまだ暑さが残る日々ですが,静かに秋の良き趣も感じる

季節となりました。

 本校も,運動会を終え,少し小休止。次は,音楽会に向かって,

取り組みます。

 今回は,学校生活の中から,ふとしたどこにでもある小さな

出来事から考えてみます。
 

  

無理!

 あるときの先生と子どもの会話(A)です。

(A)
 先生が課題を提示しました。

子ども:「無理!」

先生:「今まで学習したことを思い出せば,できるよ。」

子ども:「先生。」

と,課題のプリントを先生に返す。

先生:「一緒についてやるよ。だからやってみよう。」

と,先生。そして一緒に取り組み始めました。


 ここで,ふと気になることが……。

子どもが話している言葉は,

単語のみ。それも1つだけ。

 次のようなシーンもありませんか。

(B)
子ども「先生,トイレ。」

先生:「先生は,トイレではありません。

    早く行ってらっしゃい。」

どちらも学校あるあるかもしれません。

こちらは,「先生」,「トイレ」の2語です。

 

成立してしまっていることが…… 

 (A),(B)共に,共通していることは,

会話が成立している

ことです。

 先生と子どもが,阿吽の呼吸で話している。つながっている姿だ!

なんていう方もおられるかもしれません。

でも,成立させてしまって良いのでしょうか。

 今,話題になっている言語活動という視点から見ると,

表現力,そして,思考力をつけるという点から考えると,

これは,まずいと言わざるを得ないでしょう。

成立してしまっていることは,良くないことだと思っています。

だから,

単語だけの会話は,成立させないこと。

を心がけています。


表現力を高めたい

 もちろん,文章にして話す子どもがいる一方で,

先述した単語で話す子どもがいます。

 このような子どもの中に,言葉で反論できないために,

暴力を振るってしまうこともあります。こういった子どもに出会うと,

言葉を増やしてあげることができればなあって思います。

 また,表現力があれば,暴力を振るわなくて,済んだかもしれません。

 さて,文章で話す子どもは,学習面も得意で,表現力が高いこと

でしょう。しかし,逆も真なりなのです。

表現力が高いと,学習も得意になるのです。

 

文章で話すことで,いらいらも減退

 当たり前ですが,人間は言葉を使って,話します。そして考えます。

単語だけで会話を成立させてしまう生活をしていると,単純な言葉しか

使わず,思考も複雑にはなりません。

複数の単語を使っての文章で考え,話すようになれば,

思考も豊かになる

ことでしょう。そして同時に,

表現も豊かになります。

 喧嘩ばかりしている子どもたちに,言葉を増やす指導を行ったところ,

喧嘩が減ったという事例を聞いたことがあります。

 「学校あるある」の何気ない単語だけの会話ですが,

文章で話すことを心がけてはいかがでしょうか。

 もちろん,学校だけで無く,保護者の方は,おうちでの会話を

少し心がけてみてくださいね。

 うちの3歳の王子にも,文章で話すように,仕組んで話しかけています。

 

関田 聖和(せきだ きよかず)

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。

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