先日の特別支援教育士(S.E.N.S)の会で,「障害者差別禁止法」に
ついての話がありました。
国連の「障害者権利条約」批准に向け,日本国内法整備の一環として
検討が進んでいます。
昨今の障がい者に関するニュースを聞く度に,この法律が早く制定されれば,
このようなニュースも聞かないのになあって思います。
障害者差別禁止法
内閣府の差別禁止部会が2012年9月,法案についての意見書をまとめて
います。
障がい者だけをサービス利用させない等の「不均等待遇」
障がい者への配慮がされれば使用することができるのに,
「合理的配慮をしない」こと
を差別としているのです。
アメリカや韓国など,障がい者差別を禁ずる法律は各国にあります。
日本国内でも千葉県,岩手県,熊本県などが独自の条例
を設けています。
何が差別なのか
「障がいを理由にした差別」が何かをはっきりと決めると
分かりやすくなるのでしょう。
日本では,社会常識の上で「差別」はしてはいけないことになっています。
当たり前の話ですよね。
法律の上でも日本国憲法第14条で,「差別を受けない権利」が国民にはある
とされています。
障害者基本法の第3条にも「差別を禁止する」という一言が入っているのです。
しかし,現実社会では,障がい者が受ける様々な
「嫌な思い」,「悔しい思い」が,問題となることは,少なくありません。
でもこれは,その方の感覚での判断になります。そのため,
「不利な取り扱いを受けている」,「不平等だ」,「嫌だ」
と思っても,それが,
差別かどうか判断できる細かな基準がない
のが,今の日本です。
こんな法律が無くても……
こんな法律が無くても,みんなが笑顔になる社会であれば……
って,わたしも,考えてしまったことがあります。
でも,当たり前のことが当たり前でない論理で主張されるとき,
決まって悲しい思いをするのは,弱い立場の人々……。
「負けて勝つ」という言葉が,時に,学校現場の中で美徳とされることが
ありますが,それはまた別の話……。
弱い立場の方を守るという視点に立てば,法律というものは,
大切な役目を果たすと考えられます。
そのためにも,差別の基準の役割を果たす法律が必要となります。
そして,その基準となる法律が,教育や労働での課題,障がい者の生活全般に
わたって,何が差別となるのかをかなり細かく規定する必要があることでしょう。
ちょっと複雑な気持ちになってしまう「障害者差別禁止法」。
動向を見守りたいと思います。
関田 聖和(せきだ きよかず)
兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。
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