さいたま市では昨年度から埼玉県のNIE推進協議会と協定を結んで、市立全小中高特別支援学校でNIE(教育に新聞を)の活動がスタートしました。学校によって実践の仕方は様々ですが、全ての学校が何らかの形で新聞を使った教育活動を実践しています。教育長は「新聞を開くという行為は、社会への窓を開く行為である」とし、子どもたちと社会とをつなぐ懸け橋としての役割を重要視しています。
さいたま市でNIEを取り入れる方針を示したため、市内の先生方のNIEへの関心度が高くなってきました。学校の研修会でNIEを取り入れている学校も増えてきました。先日は、私が講師としてある学校へ研修に行ってきました。
研修の内容は、(1)NIEの概要説明 (2)実際の新聞を使って授業で使える記事をさがす (3)NIEの模擬授業です。概要の説明はあまり長くせず、実際に先生方と新聞を使った活動をたくさん行うようにしました。
(2)の記事探しでは、その日の新聞から授業で使える記事や子どもたちに内容を話したいと思う記事などを選び、発表し合っていただきました。
「被災地の方々から届いた年賀状の記事についてぜひ児童に話したい。」
「今は同じ形の野菜を作る工夫がされていて、形が違う野菜は値段が安くなってしまうという記事があるので、社会科で使ってみたい。」
など、たくさんの記事が紹介されました。最近は教科書でもNIEが取り上げられていますが、このように先生自身が記事に興味をもち、「子どもに伝えたい」という思いをもつことが大切であるということをあらためて感じました。
(3)の模擬授業では、生活科の新聞づくりと社会科の新聞活用について、授業を通して学んでいただきました。実際に2年生になったつもりで新聞を作っていただきました。理論的なことを聞くよりも実際に活動を通すことで、指導のコツを理解していただいたようです。
これからもNIEを広めていくために活動をしていきたいと考えております。まずはさいたま市全体で当たり前のように新聞を活用している姿を目指していきたいと思います。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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