昨年度中頃から本年度にかけて,国語科の授業づくりについての研修が多くなっています。
皆さんの地域では,いかがでしょうか。
それは,
言語活動の充実
単元を貫いた言語活動
を……という指導要領の考え方から,今まで同じである教材でも,取り扱われ方が違うからです。
特に中堅以上の先生方は,少しばかり混乱。若手は,すんなりかと思いきや,
「わたし,子どもの頃,このように教わりました。」
なんてこともあるらしいです。
少し研修で学んだことなどをもとに,簡単にまとめてみます。(簡単にで,すみません。)
つけたい力を明確に
なんと言っても,大切なことは,
つけたい力
です。これに異論を挟む余地はありませんよね。
それは,「活動あって学び無し」の国語の授業ではなく,
泥臭くても,見栄えがよくなくても,
つけたい力を優先した授業展開であることが大切だ
と考えています。
つけたい力が形となって表れてくるのは,第3次の学習となります。
この第3次が,いわゆる単元のゴールなのです。
光村図書出版 5年生下「大造じいさんとガン」の単元名は,
「作品を自分なりにとらえ,朗読しよう」
とあります。
例えば,第3次を「朗読発表会をしよう」と設定したとします。そうすると第2次は,
「自分なりの朗読」ができるようになるための学習となります。
そしてその意欲が持続し,見通しがもてるようにするために,第1次を行います。
つまり第3次,いわゆる学習のゴールから逆算して,授業を組み立てていくといいのです。
単元を貫く言語活動
光村図書出版 4年生上「一つの花」の単元名は,「物語を読んでしょうかいしよう」となっています。
ゴールからの逆算をして考えてみます。
第3次……物語の紹介をする(学習のゴール)。
第2次……どのように紹介すれば良いのかを学習する。
第1次……物語を紹介したいといった意欲を高め,学習計画を立てる。
などになります。
そして単元を貫く言語活動の一例を挙げるならば,
「物語を読んで紹介する」
と設定できます。
この活動は,話しても,書いても良いでしょう。第3次での紹介をするために,力をつけていくのです。
つけたい力は絞る
しかし文学教材などは,先輩方が取り組んでこられた実践が多数残っています。
また,わたし自身もその一人なのかも知れませんが,昔行った学習の流れで進めると,
こんな力が付くのだといった手応えがあります。
けれども,一端ここでぐっと我慢です。そう,立ち止まるのです。
つけたい力は,
その学年の他教材の関わり
そして,
今まで学習してきたこと,これからの学年で学習すること
を見据えないといけません。だから,
つけたい力は,絞ります。
そうしないと,たくさんの活動を取り入れてしまうことでしょう。
そしてそれは,結局何をしたのかが分からないことになってしまう危険性をはらんでいます。
ここで,今までも作成,活用されてきたと思いますが,
年間指導計画
の登場です。
光村教育図書を例に取ると,指導書やホームページに,各学年,各領域に分けて,
指導事項と言語活動例を単元ごとに◎,○,・,★などで示されています。
これを参考にするのです。
もちろん,教科書会社が提示しているものなので,各校の実態に合わせた指導事項の設定が大切です。
本校でも国語部会などで,この資料を見ながら,素材研究,授業の組み立てを考えています。
より計画的に指導する
わたしだけかも知れませんが,どうしても国語って授業時間が取られてしまいます。
しかし,発表会,紹介文。新聞づくりに,観察日記の書き方。グラフ・資料の読み方,報告文。
討論に,プレゼンテーション……。
様々な言語活動を通して,国語科で習得して,他教科で活用することになります。
よりよく計画的に学習を行わないと,いくら時間が合っても足りません。
また,習得できずに,次の単元ということになっては大変です。
一週間,教室で学ぶ授業は,国語が一番多いのです。
基幹学力となる教科だけに,ここは,学校をあげて取り組んでいきたい教科ではないかと
考えてしまいます。
そのような,今日この頃なのです……。
関田 聖和(せきだ きよかず)
兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。
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