2012.11.20
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たかが計算,されど計算......

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV) 関田 聖和

 子どもたちの学力向上のために,ちょっとした効率化はないものだろうか……と

思いめぐらせていたときに,以前,お話を伺ったことを思い出した。講演メモなどを

もとに,まとめてみます。

 

計算プリントで,脳が活性化

 東北大学教授の川島隆太医学博士は,単純な計算問題を解くだけで,

脳が活性化する

と言われています。

 だから

学習前の5分間に,計算プリントなどに取り組む

と,脳にエンジンがかかり,勉強に集中することができます。

 朝の時間に,学習の基礎基本の時間を取って,計算問題や音読,漢字練習などを

取り入れている小中学校が多いのは,その考え方からかも知れません。

 もちろん家庭でも,朝ご飯を食べる前に5分間程度の計算問題を取り組むことは,

一日のスタートとして,良いことこの上ないです。

 しかし,計算問題をすれば良いというものでは無いのです。

 

解くスピードが大事

 同じ計算問題を解くことでも,速く解くのと,ゆっくりと解くのとでは,答えが

正解していても,脳の働きは変わってくるのです。

 速く解いている人の脳は,前頭前野と呼ばれるところを始め,広い範囲で働くの

に対して,

 ゆっくり解いている人の脳は,働いている場所が少ないことが研究の成果で

分かっているのです。
              参考文献『子どもを賢くする脳の鍛え方』(小学館)

 

 だから,脳の働き,活性化ということを考えたとき,

できるだけ速く解くこと

が大切になります。
 

 

できるだけ速く解くは,脳のトレーニング

 計算練習などの学習を振り返ると,単に計算問題を解くだけでは,何かしら

もったいない感じがします。

計算問題は,できるだけ速く解くことを意識させたい

ものです。

 また毎日繰り返し,速く解くことに取り組んでいると,脳内での情報伝達が

スムーズになります。これは,

伝達経路が太い

と言えるでしょう。

 それとは逆に,計算に時間がかかるのは,まだまだ脳内での

伝達経路が細い

と言えます。
 
 脳のトレーニングとして,計算を速く解くことは,有効です。そして脳を

活性化して,学習に取り組むと定着率もアップすることでしょう。
 

 

速いだけでいいのか……

 もちろん速く解くだけでは無く,正確さも重要です。早くできましたといって,

答えがでたらめでは,何をしているのか分かりません。

 正確に解くことができないということは,まだ,その計算問題の習熟が未熟で,

定着していないのです。

 繰り返し練習をするようにして,定着させないといけません。

それから,速さを目指します。
 

 また計算ができるということは,

算数の問題を考えるための手段を手に入れた

ということです。その手段を使って,考える力を育てたいですね。
 

 

 たかが計算,されど計算……

 

 朝の学習など,基礎基本の学習の時間に,

できるだけ速く解くことを意識

させてみませんか。そして,学習内容の定着率を「ぱわぁあっぷ」させましょう。

関田 聖和(せきだ きよかず)

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。

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