2012.08.06
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2学期に取り入れたい特別支援教育の視点

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV) 関田 聖和

 夏休みになりました。学級の振り返りなどをまとめられる先生も多いのでしょうか。

本校も,全教員がB4にまとめて1冊にし,検討会をもちます。

 2学期スタートまでに,学級・学習集団づくりを特別支援教育の視点から,できることを

ハード面,ソフト面から考えてみます。

 

 

「特別」ではない 

 平成19年に特殊教育から,特別支援教育へと法が改正され5年がたちました。

やっと特別支援教育という言葉が浸透してきたように思います。特別支援教育は,

「特別」という言葉を含みますが,

 

どの子どもにも優しく,より効果的に取り組むことができること

子どもたちの学び方で指導すること

 

なのです。これを学級づくりの視点として取り入れると,子どもたちの笑顔が増えます。

特別支援教育は,特別な教育では無く,どの子どもにも優しい教育なのです。
       

 

環境面の構造化 

 誰もがすぐに取り入れやすいと思うのが,環境面の構造化です。

 黒板周囲の掲示の中で,必ずしも前面に無いといけないものは何でしょう。

時間割表も,授業時間に見る必要はありません。学校によっては,学校目標,学年目標,

学級目標などが貼られているところもあるのでしょう。

 答えは,無いのです。

つまり,教室の側面や後ろに掲示すれば良いのです。
 

 

ルールの明文化 

 次は,常時掲示したいものについて考えてみましょう。それは,

 

ルール

 

です。

「暗黙のルール」が理解できない子どもたちがいるからです。 

 学級開きでは,様々なルールについて確認の話をすることでしょう。

遊具や学級ボールの使い方

発言のルール

給食当番や日番の仕事

掃除など

多岐にわたるでしょう。確認ですから長い時間は取りません。残念ながら忘れてしまっている

子どもは必ずいます。それぞれについての約束事を

 

明文化して掲示

 

したいのです。ただし,常時掲示しなくていいものは,その都度でも良いです。

その際に注意しなくてはいけないことは,

 

文末

 

です。

 特別支援教育が進んでいる学校では,当たり前になってきている声かけがあります。

それは,

「廊下を歩きなさい」

です。一昔前は,

「廊下を走らない。」

だったことでしょう。どうして変わったのかというと,

 

「走っちゃダメなら,どうしたらいいのか分からないよ。」

 

という子どもがいるからです。つまり,禁止句で終わるのでは無く,肯定型で終わる指示や

説明が必要なのです。だから,「走らない」ではなく,「歩く」なのです。具体的に行うことを

明文化するのである。

  例えば,特別教室の移動について考えてみましょう。次のように話をしていませんか。

「次の時間は,社会か。パソコンルームでするぞ。

 社会の用意を持って,廊下に並んで。そうだ。

 絶対に走るなよ。」
 

   これを以下のように文で書いて,提示するのです。指示で話す言葉も簡潔になります。
 

1.社会(教科書・ノート・筆箱・下じき)の用意

2.パソコンルーム

3.口を閉じる

4.廊下に並ぶ

  当番活動の進め方や掃除などの順序についても,番号を振って明文化したいものです。

順序を追って取り組むことができるからです。内容についても具体的に書かれるとよく分かるものになります。
 

関田 聖和(せきだ きよかず)

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。

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