「教育つれづれ日誌」に,執筆させていたくことになった関田 聖和(せきだ きよかず)です。
貴重な誌面を使って発信の場をいただけることに感謝しています。日々考えていること,実践や自作教材を紹介します。
小学校教師ですが,特別支援教育士(S.E.N.S)のメンバーでもあります。特別支援教育の視点で,楽しく学んで力をつけることができる「楽習」の時間を,「楽習」教材を使って……。
そして笑顔で育てる「笑育」をモットーに,お話します。お茶でも飲みながら,ゆるりと読んでいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
子どもを「みる」
新学期が始まり,ほぼ1週間から10日間が経ったのでしょうか。みなさんは,いかがお過ごしでしょうか。
このわたしも落ち着いて子どもと向き合えているのか,はなはだ疑問ですが,一年間かけて力をつけていくのですから,焦らずに子どもをみているのだろうと思います。
「みる」をあえて,平仮名で書いているのは,様々な意味の「みる」があるからです。それは,
「見る」……視覚的に見る
「覧る」……全体を一望するように覧る
「観る」……見物するように観る
「視る」……視点を絞って視る
「看る」……氣を配る
「診る」……医者のように体,健康の状態を診る
があると考えているからです。
子どもたちと学級や学校のルールを確認しながら,子どもを「みる」のです。そして記録します。
でもこれは,物理的にみえるので,どの先生でもやられていることでしょう。
特別支援教育の視点で「みる」
わたしは,これ以外に,目線・左右の力の入れ方・足踏み・立ち姿勢・座り姿勢・鉛筆の持ち方・絵・文字・漢字・計算・音読などの子どもたちがとる行動から,子どもを「みて」います。
これらから,みえないけど,みえていることがあるのです。それは,もっている力のバランス・器用さ・体の使い方・親子関係・内面に抱えているもの(こと)・学力など。
これらから,子ども自身,まだ心を開こうとしていないのに,開いている,発信していることを「みて」います。「みる」というよりは,「捉える」という言葉の方が適しているのかも知れません。
笑顔で育てる「笑育」
「みる」と言っても,私自身がとどまっているのではありません。ほとんどの先生と同じように,子どもと話し,遊び,授業を創っていく中で,「みて」います。その中で大切にしていることが,「笑顔」です。
わたしは,一目を置いている人,尊敬をしている人,もっと平たく言うと,好意をもっている人からの忠告は,素直に聞くことができます。それとは,逆の立場の人からの忠告は,正論であっても,なかなか素直に聞くことはできません。これは,わたしだけじゃ無く,誰でも当たり前のことなのかも知れません。
子どもも同じなのです。
だから,子どもから好かれなくてはいけません。迎合するのではありません。先生として好かれるのです。
そのためには,こちらから心を開かなくてはいけません。心を開く簡単で奥深い方法に,「笑顔」があるのです。
子どものどんな言動に対しても,まず「笑顔」。わたしはこれを「先手必笑」と若手に説明をしています。
良くない出来事であってもです。そして叱らなくてはいけないときには,叱るのです。でも,「笑顔」を忘れずに……。
「じゃ,関田先生は,大きな声で叱らないのですか。」
と問われることがあります。もちろん,命に関わるようなことをしてしまった子どもには,厳しく話します。顔も強ばらせて叱ります。しかし体の一部を笑顔にするのです。
子どもは,みんな伸びたいと思っている
わたしは,子どもを叱るとき腕や体に触れます。大抵は,子どもの左側に寄り添って,左腕を握っています。
その時に,口調は厳しくするのですが,腕をもつわたしの手は,ゆるく力を抜いて握ります。つまり,怒っているのでは無く,君のために,叱っているのだということを握っている掌から,伝えるようにして……。
子どもは,素直に話してくれます。そして次第に目と目が合います。目と目が合ったら,掌と同じように,まなざしを優しくします。
そして普段の良いところを伝えつつ,行為の何が悪かったのか,どうすれば良かったのかを話します。
場合によっては,その行為を目の前でやって見せたり,させてみたりします。
「これができるようになったら,ぱわぁあっぷできるね。」
と結びます。どんな子どもでも,子どもは伸びたいと思っています。だから学校に来ます。特に新年度スタートのこの時期を大切にしたいです。
わたしが尊敬している野中信行先生も,著書「学級経営力を高める3・7・30の法則」でおっしゃる30日には,まだ半分以上残っています。子どもを「みて」,子どもには,「先手必笑」で,力をつけていきたいものです。
関田 聖和(せきだ きよかず)
兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。
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