新学習指導要領実施を受けて、全国で新聞を活用した授業が多くおこなわれるようになってきました。新聞を活用することで、子どもたちが社会の出来事に関心を持つようになったり、自分から学習する意欲を持ったり、さらに、授業において内容を深めることができたりする効果が期待できます。
本学級も低学年ではありますが、新聞を活用した授業を積極的に行っています。毎週の新聞写真のスクラップに加え、各教科の学習などでも新聞を活用しています。今回、新聞活用と連動し、さらに学習を発展させるために「辞書引き学習法」を取り入れることにしました。
「辞書引き学習法」とは、中部大学准教授である深谷圭助先生が愛知県内の小学校教諭時代、京都の立命館小学校などで取り組まれた実践で、辞書を引いて知っている言葉を見つけたら付箋で印をつけていく学習法です。
子どもたちは知っている言葉に付箋を貼ることで学習をしたことを実感し、進んで学習するようになってきます。そして、興味をもったことを自ら調べることもできるようになってきます。新聞を読む際に子どもたちは分からない言葉に必ず遭遇します。その時にすぐに辞書を引いて調べながら、豊かな語彙力を身につけ、積極的に学習してほしいと考え、辞書引き学習法を取り入れました。
「辞書引き学習法」のオリエンテーションには、中部大学の深谷先生をお招きし、直接子どもたちに指導をしていただきました。
「辞書のどこのページでもいいから開いて、知っている言葉を探しましょう。」
「見つかったら付箋にその言葉を書いて辞書に貼りましょう。」
深谷先生がそう投げかけると、子どもたちは夢中になって辞書をめくりだしました。普段なら落ち着きがなく、なかなか授業に取り組めない子も楽しそうに辞書をめくり、自分の知っている言葉に付箋をつけていました。
「この時間の中で100個言葉が見つかるかな?」
最初は、子どもたちはそんなに見つからないと思っていたようですが、授業の終わりには10人ぐらいの子が100個以上の言葉を見つけて付箋を貼ることができました。
今回の授業をスタートに、辞書引き学習を進め、NIEとも連動させていきたいと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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