新学習指導要領に新聞を活用した指導内容が盛り込まれたことによって、今後、さらに学校と新聞社の連携による授業づくりの実践が増えてくるものと思われます。これまでもNIE(教育に新聞を)の実践者は積極的に新聞社との連携を行い先進的な授業づくりに取り組んできました。それらの先行実践をもとに、これからさらに実践を深められたらと考えております。
しかしながら、ゲストティーチャーに来ていただいた新聞記者さんや支局長さんにお話を聞くと、学校側から「講演をお願いします。内容はお任せします。」という要請を受けることがあるようです。記者さんたちはこのような要請を受け、工夫をして講演をするそうですが、どんな内容を話したらよいかと困惑してしまうようです。
また、いくら新聞の活用が学習指導要領に盛り込まれたとはいえ、「新聞ありき」で授業づくりがスタートしてはいけないと思います。あくまでも授業や単元のねらい(子どもたちにつけたい力)があって、それを効果的に達成するための手段としてゲストティーチャーの要請という方法があると思います。その点を踏まえて今後の実践を考えていく必要があるのではないかと感じております。
これまで、私自身も何度かゲストティーチャーとして新聞記者さんを招聘した授業を行いました。
○国語科で、児童が新聞記事をもとに意見をスピーチする活動を行っているので、記者の方に感想を述べてもらい、さらに新聞を深く読むための助言をいただいた。
○総合的な学習で、児童が携帯電話について調べていく前に取材のプロとして記者の方を招き、取材をするポイントを教えていただいた。
○国語科で、調べたことをまとめる言語活動として新聞づくりを取り上げた際に、効果的な見出しのつけ方や記事の割り付けのしかたを教えていただいた。
などです。いずれも依頼する際には授業案を示し、このような意図でこういう話をしていただきたい
というお話をしました。
新聞社さんは現在、学校への協力を惜しみなくしてくれています。しかし、そのお力を最大限に生
かすのは教師の役割であると言えます。今後、さらに新聞社との連携による授業づくりが増えてきま
す。あくまで授業のねらいを達成するための手段としての意識を忘れずに実践を深めてほしいと思っ
ております。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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