2011.07.30
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

『なぜ新聞でなければいけないの?』

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

  今年度から小学校で完全実施となった新学習指導要領で新聞の活用が指導内容として盛り込まれました。例えば国語科においては中学年で新聞を作ること、高学年では新聞を読むことが言語活動の具体的な内容として示されています。また、新聞の作られ方などの機能学習も社会科において重要視されるようになりました。このような動きの中、私の勤務する学校があるさいたま市教委は埼玉県のNIE(教育に新聞を)推進協議会と提携を結び、市内の全小中学校で新聞を活用した授業を実践することになりました。先日、各学校から担当者が集められて研修会が行われました。

 

 研修会では実践経験者からの発表ということで私の方から、これまでの実践についてお話してきました。NIEを無理なく導入していくには、

 ○まず、新聞記事のスクラップなどを通して日常的な活動を設定すること

 ○そして、児童生徒が新聞に親しむための新聞配置や掲示などの環境整備をすること

 ○さらに、以上のような土台の上に立って、各教科や領域での実践を行うこと

などのことが大切だという話をしました。今後、各学校で様々な実践が行われていくことを期待しています。

 

 研修会の中で参加の教員からこんな質問が出ました。

 

「どうして新聞なのですか?」

 

もっともなことだと思いました。これまで縁がなく、新聞を活用した授業を行ってこなかった教員もたくさんいると思います。そこに、市教委から全部の学校で実践を行うようにと言われてもなかなか納得できるところではないと感じます。

 この質問に対して、私は、「新聞は現在PISA調査などで児童生徒が苦手としている、情報を正確につかみ、それを咀嚼し、自分なりの考えを発信する能力を鍛えるのには最適の教材となるから」と答えました。そして、「新聞はインターネットなどと違い情報の信頼性が高いもので、自分の考えを醸成していくのに非常に優れている」とも述べました。質問された方が納得されたかわかりませんが、授業実践を行う中できっと児童の変容を実感していくことと思います。

 

 ただ、懸念されるのは「新聞ありき」の実践になってしまうことです。新聞を使わなくてはいけないからということでは授業のねらいがぶれてしまうように思います。どうして新聞を使うのかというねらいをきちんと押さえて実践を行うことが重要であると思います。しかし、気楽に新聞を使ってみようというくらいの気持ちの方がよい実践になる気がします。

 

 今後、さいたま市から全国へ実践が広がってくれることを願っています。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

同じテーマの執筆者
  • 関田 聖和

    兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)

  • 若松 俊介

    京都教育大学附属桃山小学校 教諭

  • 杉尾 誠

    大阪府公立小学校 主幹教諭・大阪府小学校国語科教育研究会 研究部長

  • 笠原 三義

    戸田市立戸田第二小学校 教諭・日本授業UD学会埼玉支部代表

  • 熊井 直子

    小平市立小平第五中学校 主幹教諭

  • 羽渕 弘毅

    兵庫県公立小学校 教諭

  • 川上 健治

    明石市立錦が丘小学校 教諭

  • 山本 裕貴

    市原市立八幡小学校教諭 木更津技法研所属

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop