先日の東北地方大震災では東北地方を中心に甚大な被害があり、その他の地域でも様々な影響が出ています。本校でも、地震以来短縮日課に変更になり、下校時は教員の付き添いで一斉下校をしていました。今回の地震は本校の子どもたちにとって一生忘れられない出来事になると思います。そこで、今回の地震から命の大切さや人と人とのつながりや絆の素晴らしさを感じさせたいと考え、地震を取り上げた道徳の授業を行いました。
まず、子どもたちは事前にお家にある新聞記事から地震に関するものをスクラップする活動を行いました。毎日各紙に地震の凄惨さを伝える記事や写真があります。子どもたちは、それらの中から思い思いに記事や写真を選んでいました。津波で被害を受けた自宅から思い出の品を探す人の写真や、避難所で不便な生活をしながらも笑顔を見せている人たちの写真など、様々なものを選んでいました。
授業では、地震があった次の日の各紙の読み比べを行い、次に地震で家族を失った方の記事を読みました。その中でも自分たちと同じ3年生の子がお父さんお母さんと離れ離れになってしまい、毎日避難所を探し歩いているという記事を読み、児童は家族と一緒にいられる普通のことがどれだけありがたいことなのかを実感していました。そして、一つしかない命を大切にするために今からどんなことができるかということを考えました。
「家族のことをもっと大切にしたい。」
「自分の命をもっと大切にしたい。」
「被災した人たちのことをもっと知るようにしたい。」
などの考えが出てきました。児童は今回の学習を通してきっと命を大切にすること、そして人にやさしくすることを学んだと思います。自分の周りにいる人たちを大切にしていってほしいと担任として思いました。また、新聞やテレビのニュースを通して被災地の方々の様子にも引き続き目を向けてほしいと思っています。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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