いよいよ新学習指導要領が完全実施になりました。各学校では新年度の準備に忙しくされているところだと思います。新指導要領になり大きく変わったことはたくさんありますが、各教科・領域の指導の中で積極的に新聞を活用することが明記されている点が特に注目されるところだと思います。これまでも新聞を活用した実践は多くおこなわれていましたが、これからはすべての教員が何らかの形で新聞を活用した指導を行っていくことになると思います。私も数年前から新聞を活用して各教科・領域の指導を行ってまいりました。新聞を活用することで子どもたちの興味関心が高まったり、社会性が育めることを強く感じています。
昨年の年度末には道徳で新聞の活用を行いました。新指導要領では道徳においても「主題にかかわる新聞などの活用」として重要視されています。今回の実践では、「尊敬」を扱った資料を発展させるために新聞を使いました。
授業ではまず、副読本の資料から大工のお父さんを尊敬する主人公の心情について考えました。その後に、あらかじめスクラップしてある自分が尊敬する人の記事についてスピーチをしあいました。子どもたちは、「尊敬する人」について、すごいと思う人、信頼できる人、憧れてしまう人・・・などと捉え、記事をスクラップしていました。
スピーチの中には、ニュージーランドの地震で被災された方をみんなで協力して救助している新聞写真を題材にしているものもありました。
「わたしはニュージーランドの地震で、救出される女の人の記事をスクラップしました。地震で倒壊した建造物からかんばって女性を救出しようとしている人たちを目標にしたいと思います。家族や友達じゃなくても、こまっている人を助けたいと思います・・・」
子どもたちのスピーチを聞いていて、小学校3年生でも新聞記事や写真が訴えることをつかみ、自分の考えをしっかりともつことができるのだと関心をしました。活動の後に担任から、「新聞にはみんなのモデルになる人の記事がたくさん載っています。ぜひこれからも見つけてみてください」と述べました。今回の活動を行ってみて、やはり新聞は道徳の学習内容を深める意味で大変有益だと感じました。
新聞にはリアルがあります。リアルな現実に触れることで子どもたちは、生き生きと学習をしていくのだと感じています。道徳だけでなく、様々な学習の機会にそれを味わわせてあげたいと感じています。全国でたくさんの実践が行われることを願っています。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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