2010.08.30
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『夏になると思い出すこと』

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

 毎年夏が来ると思い出す人がいます。それは、小学校5・6年生の時に担任をしてくださったS先生のことです。S先生は私が所属していたサッカー少年団のコーチもしておられましたので、そちらの方でも大変お世話になりました。

 S先生と過ごした2年間はとても思い出深い日々でした。サッカー少年団での思い出は国立競技場にサッカーを観戦に行ったことや毎週のようにいろんなところへ試合をしに行ったことです。時には叱られてくやしかったこともありましたが、今ではすべてがよい思い出です。学級の方の思い出は、日光への修学旅行や野辺山高原への林間学校、運動会の組体操、そして涙・涙の卒業式・・・などなどたくさんあります。

 小学校時代にたくさんの思い出ができた私は、いつの間にか小学校の教師になりたいと思うようになりました。S先生にも6年生の卒業間近の時にそのことを話した記憶があります。S先生は「お前が先生になろうとするときに協力できることは何でもするからな」と言ってくれました。

 それから、12年後の夏に私は小学校の教員採用試験を受けていました。何とか1次試験を合格したこともあり、本当に久しぶりにS先生に電話をして合格の報告をしました。S先生は自分のことのように喜んでくれました。私自身教員になったらいろんな実践をして、S先生と子どもたちのことや学校のことをたくさん話したいと思っていました。
 
しかし、電話をした数日後にS先生がお亡くなりになりました。海での事故でした。

 私はその知らせを聞いたときに、まるで夢でも見ているような気持ちがして、すぐには信じられませんでした。時間がたつにつれてもうS先生と会えないということを考えたときに、急に悲しみがわき上がってきました。できることなら亡くなる前にもう一度だけでも会っておきたかったと後悔をしました。本当に本当に残念な出来事でした。

 その後、縁あってS先生が初任者の時に赴任されたさいたま市立鈴谷小学校(旧与野市立鈴谷小学校)に昨年度までの6年間務めることができました。学校の中にはS先生の名前が残っているものもあり、本当にS先生と話をしているような気持ちになることがありました。6年生を担任したときに子どもたちとうまくいかず悩んでいるときにもS先生のことを思い出してがんばることができました。

http://www.manabinoba.com/index.cfm/8,9790,21,129,html?year=2008

 今は鈴谷小学校を離れてしまいましたが、S先生との思い出はこれからもずっと大切にしていきたいと思います。

 さいたま市立鈴谷小学校は今年40周年を迎えるそうです。11月には大きな式典や祝賀会があると聞きました。40年という歴史の中にS先生と私が一緒に入っていられることがとてもうれしく感じられます。

(さいたま市立鈴谷小学校webページ)
http://suzuya-e.saitama-city.ed.jp/

 今年の夏も暑くなりそうです。S先生のことを思い出しながらホッと一息いれる夏休みにしたいと思っています。

※写真は夏を迎えたさいたま市立東宮下小学校の児童の写真です。
P6250059.jpgP7080106.jpg

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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