2009.10.12
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『子どもたちに活用力をつける授業実践スタート』

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

 今年度9月より、文部科学省・国立教育政策研究所が行う『「キーコンピテンシー」に基づく学習指導法のモデル開発に関する研究』のプロジェクトに参加することになりました。キーコンピテンシーとはOECDが提唱する現代社会に必要な能力であり、知識や情報を活用して思考したり表現したりする力と言えます。日本でも新学習指導要領において「活用型の学習」として、知識や情報を生かしていくことが強調されています。

 今回の国研のプロジェクトではこのような力をつけていくために、児童が必要感を持ちながらものごとを調べたり、調べた情報を選別したり、まとめたことを発表したりするような授業モデルづくりを行います。特に目玉なのが学習の中で、社会との接点としての新聞を活用していくことです。新学習指導要領でも新聞の活用が盛り込まれていますが、調べ学習などに新聞を積極的に活用していきます。10月から12月までこのプロジェクトの授業を実践しますので、第6期のつれづれ日誌では実践の様子をお伝えしていこうと考えています。

 今回、私が行う実践は総合的な学習の時間を中心とした教科横断的な学習として、ケータイを取り上げることにしました。国研からは児童が取り組む課題として「これから児童生徒が遭遇するであろう現代的課題」にするという指示がありました。

 ケータイは今や小学生でも持つ時代になりました。現在担任している4学年の児童では33人中6人が持っています。そして、本校では数年前まで低学年の児童にGPS機能をつけたケータイを持たせ、いつでも安全確認ができる取り組みを行ってきたことや、保護者を対象に学校からの緊急連絡はメールで行っていることもあり、児童にとってケータイは大変身近な存在になっており、これから近い将来にほとんど全員が使用するようになると思います。

 しかしながら、ケータイはすばらしい機能が搭載され便利になっている一方で、ネットいじめやケータイ依存などの問題も起きています。児童にとってケータイの入門期にしっかりとした活用法やモラルなどを身につけていくことは欠かせない課題であると考えて今回の実践で取り上げることにしました。

 現在は実践への準備期間としてケータイに関する情報を集めさせています。学習に入る前の「準備」段階で、児童のケータイへの意識のアンテナを上げる作業と位置づけています。児童からは毎日のようにケータイの新聞記事などの情報を報告されます。

「先生、ケータイで地震を事前に教えてくれるしくみができたみたいだよ。」
「先生、夏休みにケータイやゲームなどにのめり込みすぎて体調をくずしている子が多いという記事があったよ」

10月はじめのスタートまで、ケータイの情報をたくさん紹介して、自分がどんな問題に取り組んでいきたいか考えさせていきたいと思います。

次回は学習のスタートの様子について報告します。

※写真は新聞スクラップをしている様子です。
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菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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