2009.06.22
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『子どもの見えない心をつかむ』

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

 クラスの子どもたちが「このクラスは楽しいね。」「このクラスになれて本当によかったね。」と言ってくれるような学級経営をしたいというのが私の願いです。できれば全員の子にこのような思いをもたせたいと思っています。

 しかしながらこれまでは、具体的に子どもたちがクラスについてどう思っているのか、どんなクラスなら子どもは満足できるのかということをあまり調査することなく、教員生活を送ってきました。
「子どもたちは最近仲がよくてクラスも落ち着いているな」
「最近は少し落ち着きがなくなってけんかが多いな」
など、なんとなく感じているだけでした。それでは、よりよい学級経営はできません。積極的に子どもたちのクラスに対する満足度を上げるように指導していくためには子どもの見えない心(思い)をつかむ必要があります。

 そんなことを考えていたところ、子どもの心をつかむツールとして素晴らしいものに出会いました。それは都留文科大学教授の河村茂雄教授が開発した「QU」です。これは、子どもがよりよい学校生活を送るためのアンケートで、子ども一人ひとりの心の状態と、現在のクラスの状態を把握することができます。
 子どもが、「あなたのクラスの人たちは、あなたに声をかけてくれたり、親切にしてくれますか」など12の質問に回答します。そうすると、その子がクラスに対して、満足しているのか、不満を感じているのかがわかります。そして、クラス全体として満足群や不満足群のパーセントがわかり、現在の状態がつかめます。

 前回の調査で、クラスに満足している子の割合が34%という結果でした。新しいクラスがスタートして雰囲気もよかったのでもっと高いかと感じていたので、子どもの実際の思いを早目につかむことができてよかったと思いました。この満足度を最終的に70%以上にもっていくことを目標として設定しました。
 そのために、
  ○毎日の学級だよりの発行(子どもをほめる)
  ○毎日のあいさつ運動
  ○クラスの子全員への2回以上の声かけ
  ○一人一役の係り分担
   (全員がクラスの一員であることを確認)
  ○特に満足度が低い子を授業で活躍させる などなど
できるだけ実践的な方法で、満足度を上げる工夫をしていきたいと考えています。
 このQU調査を月に1回は行い、自分の指導を見直し、よりよい学級を作っていけるようにしたいと考えています。

*写真は、毎日登校前に置いている学級だよりの写真・体育での一人一役を行っている写真・クラスの話し合いをしている写真です。
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菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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