2009.03.16
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『できる!思いをすべての子に』

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

「先生、私とび箱とべない!」
とび箱の授業に入る時にある児童が私にそう言いに来ました。4年生だった昨年度に体育館の改修工事があり、とび箱運動を経験しておらず、さらに低学年の時もあまりたくさんの技を練習してこなかったということでとび箱に対して恐怖感や不安感を持っているようでした。単元に入る前に行ったアンケートでも運動に対する自信が低い数値になっていました。この子がとび箱の単元が終了したときに生き生きとした顔で、「先生、とび箱が好きになったよ!」と言ってもらえるようにしようと思いながら、学習をスタートしました。

 5年生で取り上げる技は「台上前転」とその発展技である「ネックスプリング」という技でした。ほとんどの児童は台上前転をほぼマスターしており、技をさらに磨きながらネックスプリングに移行しています。その中でまだ開脚前転ができない児童が数名いるのでその児童にはなんとか早いうちに開脚前転をできるようにさせたいと考えました。

 開脚前転ができない児童は両手の支持がしっかりとできていないか、支持はできているが体重移動がうまくいっていないかの理由でできないと考えられます。そこで、何回もとび箱にまたいで乗って、両手で体を支えながら降りる運動を行わせました。そして、それに慣れてきたら実際に私の補助ありで何回も跳ばせます。補助は児童の腕をおさえて、腰を前に送ってやります。こうすることで児童に体の体重が移動する感覚を味わわせることができます。練習するうちに支持する手がとび箱の前の方につけるようになり、助走や踏切も強くなってきました。

 「よし!次は1人で跳んでみよう!」
最後は児童を見守り1人で挑戦させます。児童の助走が始まります。
 「いけるよ。そーれ!」
児童のふみ切りが強くなるように声をかけます。
 『ヤッター!!!跳べた!!!』
児童のうれしそうな声と、周りで見ていた児童の拍手が体育館に響きました。とび箱を跳べたときのうれしそうな顔は本当に生き生きとしていました。私も最高にうれしい気持ちでした。

 「よし、次は台上前転だね。」「えー(笑)」
今は、この児童もがんばって台上前転を練習しています。きっとできるようになると思います。

 今回、とび箱の授業を実践して、やはり低学年のうちに(できれば幼児のうちに)とび箱に必要な運動や感覚を鍛えておく必要があると強く思いました。体力低下が叫ばれていますが、それは児童の運動する機会が減ったことももちろんそうですが、学校体育で児童に「できる!」という思いをまだまだ十分に味わわせられていないからだと感じます。今後もさらに研修を続け、学校体育のあり方についても考えていきたいと思います。
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菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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