2009.02.02
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『個人差を乗り越える工夫を』(5年生「とび箱運動」より)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

 3学期に入り寒い中ですが体育授業が再開されました。5年生の最初の単元は「とび箱運動」です。「とび箱運動」は器械運動の中でも特に得意な子とそうでない子の能力差が大きく、また意欲の差も大きい単元であると考えています。次の体育はとび箱であると児童に伝えると・・・
「えー、全然とべないよ」
「自信ないよー」
という返事が返ってきました。この単元の中で児童全員が自分の技能の向上を感じながら楽しく運動できるような授業づくりに取り組んでいきたいと思っています。

 授業づくりの工夫の1点目は、児童が取り組む技を絞り共通の目的をもって学習を進められるようにしたことです。以前はいろんな技の中から自分の好きな技を選んで行うようにさせていたのですが、技が多岐にわたると児童全員の技の伸びを把握しずらかったり、児童同士のペア学習がうまくいかなかったりしました。そこで、今回は『台上前転』とその発展として『首はねとび(ネックスプリング)』を課題の技としました。
 
『台上前転』はとび箱の上を前転して着地する回転系の技で、2学期に取り組んだマット運動の学習が生かせます。また、台上前転が難しい児童にもマットを用いて個別指導ができるなど利点があります。さらに、台上前転ができる児童に対しては、首の部分がとび箱についたらはねるようにして着地するネックスプリングという技を発展の課題として提示することで継続した意欲化が図れます。

 2点目の工夫は、とび箱に必要な両手の支持感覚を身につけさせるための運動(慣れの運動)を授業の最初に導入したことです。具体的には以下の3つの技をメニュー化し、無理なく基本的な感覚を身につけていきたいと考えました。
(1)4つ足であるく犬歩き 
(2)ジャンプして着手しながら進むウサギ跳び
(3)ペアで取り組む手押し車

 3点目の工夫は練習場の設定です。「台上前転」の完成度に合わせて、マットで練習をする場やセーフティーマットを引いたりとび箱を2つ重ねて恐怖感を取り除いて練習できる場、そして普通に技を練習することができる場などたくさん用意しました。

 これから授業を進める中で、全員が台上前転を完成させることができるようにしたいと思います。また、台上前転が完成した児童にはさらにレベルアップした技にも取り組ませたいと考えています。どの児童も自分の技能の向上を感じながら楽しく運動に取り組めるようがんばりたいと思います。
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菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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