2024.06.18
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教室環境〜「だって先生の机も汚いじゃん」「目隠しイリュージョン」「水筒ブロッカー」〜(4)

教室環境を整える。
少しドキッとする話かもしれません。
今回は担任の身の周りとロッカーのお話です。

沖縄県那覇市立さつき小学校 教諭 石川 雄介

だって先生の机も汚いじゃん

このタイトルを見てドキッとする先生方もいるのではないでしょうか。
教室にあるあなたの机上はきれいに整っていますか? もちろん整っているレベルは人それぞれの感じ方がありますが、私はパソコン一つあるぐらいが望ましいと考えます。もし、教師の机が教室前方にあるのなら、尚更きれいにすべきだと思います。黒板の横に汚い机があったら見た目も悪く、授業に集中しづらいのは理解できることでしょう。
「点検が必要な宿題やプリントが毎日恐ろしいほど溢れていくから、机の上に物があるのは仕方のないことだ」
そう考える方も多いことでしょう。

しかし、子どもたちにこう指導した事はないでしょうか。
「授業に必要のないものは引き出しの中に入れて、机の上はきれいにしなさい」

担任と子どもは同じ土俵ではないと反論する方もいるかもしれませんが、子ども側からすると、「先生はそんなこと言うけど、自分の机は汚いじゃないか」と感じています(私の教え子が証言済みです)。
悲しいことに、子どもたちは大人の事情のほとんどを理解してくれません。やはり、言うからには大人が例を示さないといけないと思います。もちろん全てを子どもたちと同じにすることはできませんが、できるだけ自分の指導内容と行動には整合性を保ちたいものです。そのためには、やはり先生の机上をきれいにする工夫をすべきではないでしょうか。
また、見逃しがちなのが教室前方にある棚の上です。指導書や資料などを入れる棚です。よく担任の机後ろにあるあの棚です(教室によって作りや用途が違うことも考えられます)。棚の上に単元テスト入り段ボールやとりあえず置かれている謎の物などをよく見かけます。この棚も黒板の横にあるため、常に子どもたちの視界の中に入り、授業の集中に影響が出る可能性があります。
まず、教室環境を整えようとしているのに、担任の机周りが整っていないことは大問題ではないでしょうか。教室環境を整える前提として、自分の身の回りを整えることが最優先なのかもしれません。

目隠しイリュージョン

教室内に図工の作品や道具を置いたり、鍵盤ハーモニカなどを置いたりする棚はありますか? それらがはみ出していたり、むき出しになって見えやすくなっていたりしていませんか? または、教師用の棚にある指導書や資料が子どもたちから丸見えになっていないでしょうか。教室環境を整えるためには、それらが見えないように工夫をするべきだと思います。

ほとんどの先生方が実践しているので今更の話ですが、それらが見えないように目隠しのカーテンをかけると良いです。大多数の先生が実践しているだけあって、教室環境の整理効果は認められています。目隠し用のカーテンなどは100円均一のショップに行けば簡単に手に入ります。
棚が小さくて鍵盤ハーモニカがきれいに並べられなかったり、図工で使用した画用紙などが多少きれいに並べて入れられなかったりしても、それらが見えないように目隠し用のカーテンをかければ大分きれいに見えます。簡単だけど、効果的。それだけで、教室の環境を大きく改善することができると思います。

水筒ブロッカー

放課後に同僚と教室でお話をしたり、日直などで校内巡視をしたりする時に、後ろのロッカーの上に物が置いてある教室を度々見かけることがあります。乱雑に置かれた水筒や授業のノートやファイルなど、さまざまな物が置かれている。確かに教室という限られたスペースの中、広々と使える数少ない場所なのかもしれません。

しかし、ロッカーの上にそれらの物を置くと掲示物が見えなくなったという経験はないでしょうか。別の機会に詳しくお話ししますが、掲示物を貼るからにはそれに意味や価値を見出さないといけないと思います。その掲示物が隠れてしまうのは大いにまずいと思います。また、子ども一人ひとりのファイルなどを後方に掲示して貼っている場合、子どもたちが自分のプリントを掲示する時に水筒が置いてあると水筒が作業を阻み、貼りにくさを感じることになります。さらに、遊んでいたら体が水筒に当たって倒れてこぼし、ランドセルが濡れ、時には水筒のコップが割れるなど、「水筒ゴロンピチャピチャバキッと大事件」の発生も考えられます。
ロッカーの上は子どもたちの身長からちょうど彼らの目線の高さにもなってきます。目の前に物や水筒があるのは、サッカーのフリーキックの壁のような、バレーのアタックで常に相手にブロックされているような状態だと思います(サッカー、バレー経験者は分かるでしょうが、相当なストレスですよね)。目線の高さに何もない方が気持ちは落ち着くのではないでしょうか。

そして、一日の中でロッカーの上を見る機会が一番多いのは誰でしょうか。ロッカーが一番視界に入って来る人は…そう、授業者である私たちです。授業をしている時、子どもの姿だけでなく背景にあるロッカーの様子も我々の視界に入ってきます。美術館内の背景が白いように、授業の背景がきれいであるとすっきりとした気持ちで授業もできるのではないでしょうか。

もちろん場面に合わせてロッカー上を活用するのは良いと思います。私も図工の作品などを置くことがあります。しかし、期間は決めて置いています。いつまでも物を置いていると、子どもたちも「物を置いていい」と認識し始めてしまいます。常時何かが置いてあるという状況を作らずに、ロッカーの上を上手く活用することが大切だと思います。
このように、担任が教育的な意図を持ってロッカー上を活用するなど、臨機応変にロッカーの上と仲良くしていくことが大切だと思います。

今後も教室環境のお話を書かせていただきますが、次回からはさまざまなジャンルのお話も展開していきたいと思います。

何卒。

石川 雄介(いしかわ ゆうすけ)

沖縄県那覇市立さつき小学校 教諭


沖縄県の小学校教員として10年以上、子どもも担任も楽しむ学級づくりや授業づくりを研究しています。
私のモットーは「合いのある学級づくり」で、特に『思い合い、支え合い、学び合い』に重きを置いています。
また、授業や生活の中で他者尊重の心を育む仕掛けや子どもの興味を惹くアイディアを考えるのが大好きです。
効果的な掲示物の作成や子どもも担任も楽しめるアイディアなど、多種多様な教育場面について伝えていきたいと思います。

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