2003.11.18
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保護者ニーズ調査 親たちは学校に何を求めている!?(第5回)

保護者たちが学校や教師に、本当に望んでいるのは何なのか、未就学児童~小学生の子どもを持つ母親200人にその胸のうちを聞いてみた。

◆◆◆ 前回までのリポートはこちら ◆◆◆


 【 設問事項 】
Q1. あなたの理想とする小学校はどのようなものですか。 …第1回(10月22日)公開
Q2. あなたの理想とする教師像はどのようなものですか。 …第1回(10月22日)公開
Q3. あなたの理想とする校長(学校の責任者)像はどのようなものですか。
   …第2回(10月29日)公開
Q4. 学校の放課後や土曜日に、授業以外のサービスを求めるとしたら、
   それはどのようなものですか。
…第2回(10月29日)公開
Q5. 私立校へ行かせたいと思いますか。…第3回(11月5日)公開
     Q5-1. 私立校に行かせたい理由は何ですか。
     Q5-2. 私立校に行かせたくない理由は何ですか。
Q6. 子どもたちの安全のために、学校にはどこまで対応して欲しいですか。
  …第3回(11月5日)公開
Q7. 学校の環境をよくするために何か協力するとしたら、どのくらい参加できますか。
  …第4回(11月12日)公開
Q8. 設備、教員、教育方針など学校に関することで、
   「これはひどい」と思ったできごとをお書きください。
…第4回(11月12日)公開
Q9. その他、学校や教師に求めることをお書きください。
◆ まとめ ◆

 
アンケート結果サマリ (全文はPDFをご覧ください)

Q9. その他、学校や教師に求めることをお書きください。
 最後に、教師や学校に求めることを自由に答えていただいた。教師に関する要望が六割を占めた。日頃身近に接する存在だけに、その関心の高さがうかがえる。

(以下抜粋)

●教師に対して
 教師に対しては、「まず子どものことを一番に考えて」「子ども一人ひとりをよく見て」という回答が多数を占めた。また、「熱意」「やる気」「教師としての自覚」といった言葉が目立ち、保護者たちにとって「教師は聖職」という意識は根強いという印象を受けた。

《 子どもをよく見て!》
「まず、子どものことを考え、子どもの目線で物事を見て欲しいです。」
「子どもに正面から向き合って欲しい。一番基本的なことだが、できていない気がする。」
「各生徒を自分の子どものように大事に大切に、時には厳しく接して欲しい。」
「とにかく、先生が忙しすぎです。先生にもう少し時間的余裕を作らないと、子どもに目をむける時間がないと思います。もっと、一人ひとりを見てほしいです。」
「"お山の大将"にならないでください。私たち親も子どもから教わることがたくさんあります。先生も子どもと、一人の人間として向き合ってほしいです。」

《 熱意のある先生を!》
「サラリーマンとしての対応でなく、生徒個人に対して心を砕いて把握していって欲しいと思います。」
やる気のない方にはやめていただきたい。年金がつくまで我慢しているような方がいっぱいいらっしゃいます。」
「基本的には、『お疲れ様です。』と言いたい。親同士の付き合いでさえ難しい今の時代に、親子両方と付き合った上、成績も上げなくてはならないのは大変な事だと思う。でも、『もう、やっていけない』と感じたときには、教職から身を引く勇気も必要だと思う。情熱あっての職業なのではないかと思います。」

《 しっかり指導して欲しい!》
「あまり子どもの話に振り回されて、特定の子どもを責めたりせず、クラスをまとめられない先生を担任にしないでほしい。先生によってクラスに差がでるのはおかしいと思います。」
マニュアルやガイドブックにたよらずしっかりとした人間を育てることを第一にしてほしい。」
「もう少し子どもや保護者の気持ちを聞いてください。何でもかんでも、『これは決定事項です。』と押し付けないで!未成年者の凶悪事件が増えている中、小学校の6年間は子どもたちが人間として成長していく大切な時期です。勉強も大事ですが、それよりももっと大事な事があるのではないでしょうか? 先生方もご自分の小学校生活を振り返り、何が楽しかったか、考えてみて欲しいです。」

《 保護者とも理解し合える先生を!》
「家庭と一体となって子どもを育てていくという気持ちで、児童、保護者に接して欲しい。また、保護者に媚びることなく奢ることなく本音で話しあってほしいと思っている。」
「先生と保護者の信頼関係が子どもにも影響すると思うので、何かあったら保護者に連絡するとか情報を共有できる場があればと思います。」
「先生の考えをクラス通信などで知らせて欲しい。」


●学校に対して
 学校に対する要望としては、まずは「安心して通える学校を!」、そして保護者に対してもっと「情報開示」をして欲しい、という声が多かった。「開かれた」しかも「安全な」学校。この2つを両立するのは至難の技かも知れないが、これからの学校が目指すべき一つの方向を示していると言えるだろう。

《 安心して通える学校を!》
「信じられない事件が多いので、犠牲になった子どものたちのためにも、ことが起きる前にさまざまな面での対策をとってほしい。」
いじめなどに積極的に取り組んで欲しい。」
安心して子どもを預けられる場であってほしいです。教育の場であるということを忘れないでください。学力だけではなく、人生を踏み出すための大切な学びの場であってほしいです。」
「学校で怪我をすることがないよう、切に希望する。」
「楽しく安全に通ってくれる事が一番の親の望みだと思います。」

《 子ども一人ひとりに目が届く体制を!》
「40人1クラスはあまりに生徒数が多すぎて大変です。子どもの数が減ってきているのだから、1教師に対し30人くらいまでが目の行き届く人数じゃないかと思うので、1学年のクラスと教師の数を増やして欲しい。」
「クラス人数が多いのは仕方がないので、できるだけ多くの教師の目で子どもたちを見てもらいたい。担任だけに任せることなく、教師の数を増やしてもらいたい。」

《 もっと情報公開を!》
「学校でのトラブルは、隠さずに教えて欲しい。いったん決まった事は、教師全員に周知徹底しておいて欲しい。」
「とにかく、細かいことでも、何かトラブルがあった場合、保護者に報告して欲しい。」
 



◆ まとめ ◆

○本当に欲しいのは学力よりも安全?
 保護者たちが学校に求めるものは何なのか。それは、決して特別なエリート教育でもなければ、最新の設備が整ったピカピカの校舎でもない。豊かな体験や基本的な生活習慣、基礎学力、そして、安全な学校を求めている、ということが明らかになった。極論すれば、「安全で、子どもが楽しく通ってくれさえすればいい」というのが保護者の本音のようである。
 これだけ「学力低下」が叫ばれ、「中学受験」への関心が高まっている中、「より高いレベルの学習」よりも「安全対策」へのニーズの方が高まっているというのは意外な気もする。これが1~2年前ならば、どうだっただろうか。多くの保護者が「学校の門をくぐりさえすれば子どもは安全」と思い、とりたてて「安全対策」を挙げることはなかったのではないだろうか。しかし今は、いじめ、学級崩壊、不審者の侵入など、たとえ学校内にいても必ずしも安全とはいいきれない時代になっている。しかも、自由記入のコメントから見る限り、それらの事件が、遠いよその学校の話ではなく、いつ自分の子どもにふりかかってもおかしくないと多くの保護者は思っているのである。各学校やPTAでも何らかの対策を立てなければ、と危機感を募らせてはいるものの、明確な対策を立てられているところは皆無に近い。安全な学校でなければ、学力論争も虚しい。一過性のトレンドではなく、ぜひ、今後も学校の危機管理についての検討を続けて欲しいものだ。

○教師の質がすべて
 設備や教員、教育方針など、学校に関することで「これはひどい」と思ったできごとについて自由記入をいただいたところ、200名中144名が回答。実に7割以上の保護者が何らかの不満を持ちながらも、学校に通わせているのである。これらの保護者が「お金さえあれば」私立校に通わせたい、と思っても不思議ではない。
「ひどいと思ったできごと」の大半は教師に関する記述であった。マスコミでも「教師の質の低下」などと言われて久しい。教師が騒ぐ子ども達を制することができず「学級崩壊」に陥るという事態も起こり、大きな問題となっている。2000年には文部学省のから各教育委員会に向けて、指導力不足教員についての分限処分も含む人事管理システム策定の指示も出された。アンケートからも、明らかに指導力不足と思われる教員の存在が露わになっただけでなく、子どもを平気で傷つける言動、プライバシーや危機管理の意識の低さなど、人格的に問題があるのではないかと思われる教員の存在も明らかになった。保護者達は、教師に対して、「週5日制で、先生方も忙しそうで大変」と同情を寄せつつも、「何より子ども好き」で、「サラリーマン的ではなく」「熱意」があり「人間的に尊敬できる」聖職としての教師を強く求めている。
 学校選択制や、学力テストの公開など、斬新な教育政策で知られる品川区教育長の若月秀夫氏は、これらの改革の目的について「教育を変えるには教師を変える必要がある。そのためには、教師自身が変わらざるをえない仕組みを作ること」と語っていたが(学びの場.comインタビュー参照)、子どもが日々接する教師だからこそ、その責任は大きい。教育改革がどういう方向に進もうと、大好きな先生がいれば学校は楽しいし、教え方の上手な先生がいれば、自ら学ぼうという気にもなるのである。保護者にとっても、一番の関心事は、教師が「子ども一人ひとりを見てくれているかどうか」。大所高所からの教育論よりも「質の高い教師に当たる確率」を気にする保護者も多いのが現実だ。

○学校もリスク管理の意識を
 学校に対する要望で多かったのは「情報公開」。特に、何か事件があった場合、「どんな小さなことでも隠さず」に知らせて欲しい、というのが保護者の願いである。学校の、「何でも隠そうとする体質」、「とても迅速とはいえない対応」に保護者たちは大きな不満を抱いている。企業でも、説明責任ということが強く要求されるようになっている。一連の不祥事が続いたときも、迅速に対応した企業、まずは隠蔽しようとした企業で、その後の明暗がはっきり分かれた。学校でもリスクマネジメントが必要な時代となっている。



 

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