2003.10.21
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保護者ニーズ調査 親たちは学校に何を求めている!?(第1回)

保護者たちが学校や教師に、本当に望んでいるのは何なのか、未就学児童~小学生の子どもを持つ母親200人にその胸のうちを聞いてみた。

「つめ込み教育」の反省から、1996年の中央教育審議会の答申を受け、「ゆとり教育」という、従来とは正反対の方向に進みつつある教育改革。昨年から施 行された新学習指導要領では、学習内容が3割削減され、保護者の間に学力低下の不安が広がった。知識の詰め込みよりも体験を重視して、生きる力をつけよう と導入された総合学習では、何を教えていいかわからないと学校現場の混乱を招き、保護者からは「そんなことよりも基礎学力をきっちり身につけて欲しい」と の批判を浴びる結果となってしまった。公立校では学力は身につかない、と塾や私立中学受験を目指す保護者は増える一方。しかし、多くの保護者は、まだ公立 校に期待しているし、公立校で子ども達を教育したいのである。
 保護者たちが学校や教師に、本当に望んでいるのは何なのか、未就学児童~小学生の子どもを持つ母親200人にその胸のうちを聞いてみた。

回答者の基本情報

設問事項

年齢層

Q1. あなたの理想とする小学校はどのようなものですか。
Q2. あなたの理想とする教師像はどのようなものですか。
Q3. あなたの理想とする校長(学校の責任者)像はどのようなものですか。
Q4. 学校の放課後や土曜日に、授業以外のサービスを求めるとしたら、
   それはどのようなものですか。
Q5. 私立校へ行かせたいと思いますか。
     Q5-1. 私立校に行かせたい理由は何ですか。
     Q5-2. 私立校に行かせたくない理由は何ですか。
Q6. 子どもたちの安全のために、学校にはどこまで対応して欲しいですか。
Q7. 学校の環境をよくするために何か協力するとしたら、どのくらい参加できますか。
Q8. 設備、教員、教育方針など学校に関することで、
   「これはひどい」と思ったできごとをお書きください。
Q9. その他、学校や教師に求めることをお書きください。

アンケート結果サマリ (全文はPDFをご覧ください)

Q1. あなたの理想とする小学校はどのようなものですか。
(子どもが低学年の場合、高学年の場合、各々3つ選択)

保護者が理想とする学校について聞いたところ、子どもが低学年の場合は「自然に親しみ体験や遊びの中から学べる学校」を上げた人が最も多く28%(165名)、次いで「基本的な生活習慣を身につけ、礼儀正しい子を育てる学校」 22%(130名)、「安全対策がしっかりしている学校」 19%(114名)の順となった。
子どもが高学年の場合には、「基礎学力の定着を徹底し、社会に出て困らないだけの能力をつけてくれる学校」が22%(129名)で1位となる。低学年のうちは、自然体験や、基本的な生活習慣ができればいいが、高学年になれば、学力についてもきちんと指導して欲しいという保護者のニーズが読み取れる。
高学年の場合、2位以下は、「英語やプレゼンテーション技術、パソコンスキルなど新しい学力や、国際感覚を養い、世界で活躍できる人材を育てる学校」 85名(14%)、「基本的な生活習慣を身につけ、礼儀正しい子を育てる学校」 76名(13%)、「安全対策がしっかりしている学校」 76名(13%)、「芸術、スポーツなど子どもの一芸を伸ばしてくれる学校」 73名(12%)とほぼ同率で続く。このことから、子どもの個性や才能が見え始める高学年では、子どもの特性によって保護者のニーズも、基礎学力、新しい学力、一芸、など多様化してくると言える。
学力低下がマスコミでは盛んに報じられているが、「基礎学力だけでなく、発展的な内容を学び、難易度の高い学校に進学できるだけの力をつけてくれる学校」を挙げた保護者は低学年で0.3%(2名)、高学年で8%(47名)、全体ではさほど多くなく、保護者たちは学力低下論争について、意外に冷静であるとも考えられる。
また、低学年、高学年とも、「安全対策~」が上位に挙がっていることから、昨今に学校や子どもを対象とした凶悪な犯罪への不安が保護者間に広がっていることがうかがえる。

理想の学校像について、自由回答を見てみると
「子ども達がのびのびと楽しい学校であって欲しい」
「いじめや不登校などの問題がない学校」
「行くのが楽しくなる学校」
などの記述が多く、「のびのびと子どもが楽しく通える学校」を多くの保護者が求めていることがわかる。この背景には、いじめや不登校が身近な問題として、保護者の不安要因になっていることに加え、次のコメントのように、教育改革に伴う不安も影響しているものと思われる。
「週5日制になって子どもはすごく宿題も増えたし、先生もノルマをこなすのに必死なのがよくわかる。週末に充実した生活が送れるのは良いことだが、ストレスがたまって人格形成において問題が出てこないか心配。勉強も大切だけどのびのびさせてあげたい。

Q2. あなたの理想とする教師像はどのようなものですか。
(子どもが低学年の場合、高学年の場合、各々3つ選択)

理想の教師像を聞いたところ、低学年では、「教育に対して熱意があり、子どもが好きである」が最も多く24%(142名)、次いで「優しく思いやりがある」 16%(97名)、「できない子にも自信をつけ、やる気にさせてくれる」 14%(85名)、「わからない子にも根気よく指導してくれる」 13%(76名)、「ユーモアがあって子どもたちを惹きつける魅力がある」 12%(74名)の順となった。
高学年では、「社会経験が豊富で、多角的視野で子どもを指導できる」が21%(126名)で一位、以下、「教育に対して熱意があり、子どもが好きである」 15%(91名)、「博識で学校の授業以外のこともよく知っていて人生の師として尊敬できる」 14%(84名)と続く。
全学年とおして、「熱意があり、子ども好き」な先生は根強い人気があると言える。その上更に求められる要素としては、低学年では、基礎学力の指導をきっちりしてくれること、高学年になると、それに加え、社会人として必要な知識や進路について適切なアドバイスができるような資質も求められることがわかる。
「できる子をもっとできるように指導してくれる」先生は、特に低学年で0.2%と低い回答率だった。「厳しくびしびししつけて育ててくれる先生」は全学年とおして評価は低かった。

自由記入では、学習指導に関する記述よりも、子どもへの対応の仕方、人柄についての記述が圧倒的に多く、また、その要求はかなり高いものである。これだけの期待に答えろとというのは酷な気もするが、少なくとも、「子どもが好き」で「子どもの目線に立ち」「公平で」「謙虚」で「感情的に怒ったりせず」「倫理観もあり」親からも子どもからも「信頼され」「尊敬される」教師でなければ保護者たちの満足を得ることは難しそうだ。

参考資料保護者ニーズ調査(Q1~Q2)の全回答
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