2005.05.24
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デジタル観察グッズ特集

天体や自然の生物を観察することは、子どもが理科に対して興味を持つための入り口となります。その際に使われるのが望遠鏡や顕微鏡。最近ではパソコンやデジタルカメラを組み合わせた機能を持つ製品も出てきました。観察した画像がデジタル化できることで、調べたことを記録したり、レポートを作ったりといった展開も簡単にできます。今回はそんな「デジタル観察グッズ」をご紹介します。

  • SX赤道儀シリーズ

    SX赤道儀シリーズ

  • ミードETX-70AT

    ミードETX-70AT

  • BinoshotCV5

    BinoshotCV5

  • デジタル双眼 立体顕微鏡

    デジタル双眼 立体顕微鏡

SX赤道儀シリーズ

見たい惑星や星雲を自動的にとらえてくれる

目的の星が、すぐに見つかるコントローラー

目的の星が、すぐに見つかるコントローラー

株式会社ピクセン

皆既月食や火星大接近といったニュースを聞いて天体望遠鏡で観測しようと思っても、星の位置が分かっていないと、目的の天体を見つけることは難しいが、それを解決してくれるのが、自動導入の装置が付いている望遠鏡。ビクセンの「SX赤道儀シリーズ」は、天体ナビゲーション機能を装備し、付属のコントローラー「STAR BOOK」を使って見たい天体を自動導入し、さらに地球の自転で星が動いても望遠鏡のフレームから外れないように自動追尾までしてくれる。

従来の自動導入装置は目的の星の位置を名前で打ち込むので、星図に関する知識が必要であったが、「STAR BOOK」にはカラー液晶のモニターが付いており、望遠鏡が向いている方向の星図が画面に表示されるという仕組み。その画面を見ながら目的の星を探して、ボタンを押せば望遠鏡が自動的に星の方角に向いてくれるので、誰でも簡単に天体観測が楽しめる。

望遠鏡から見える星空を画面に表示

望遠鏡から見える星空を画面に表示

観測を始める前の初期設定として行うべきことは、現在の時刻と観測場所の緯度と経度の入力。そして望遠鏡の鏡筒部分を正面右向き水平にして赤道議の極軸方向を北に向けること。これで星を自動追尾できるようになり、「STAR BOOK」を使って星を探し出せるようになる。精度を高めていくためのポイントとなるのが、カーナビの原理と同様に、最初にズレを修正しながら基準となる2点以上の星を導入することで、この基準となる星を多くすることで、より精度は高まっていく。
天体を自動導入できるSX赤道儀シリーズ

天体を自動導入できるSX赤道儀シリーズ

また、目的の天体は「STAR BOOK」に表示されている星図から見つけるほかにも、星雲や惑星の名前を一覧で呼び出して、そこから選ぶだけでも自動的に導入が開始される。そのため、水星のように太陽に近く肉眼で導入することが困難な星でも、容易に観測することが可能となった。さらに、一覧表示された天体名から、見たい星座を選んだ場合はギリシャ神話の物語が、惑星の場合は地球からの距離や重力などの情報が表示されるので、より星を見るのが楽しいものとなる。
惑星や星雲の名前からも探せる

惑星や星雲の名前からも探せる

このコントローラーである「STAR BOOK」は、架台から取り外して星図としても使えるので、部屋の中に持ち込んで観測計画を立てたりすることもできる。そして、「STAR BOOK」をパソコンに接続して、ビクセンのホームページの「STAR BOOK」バージョンアップ情報のコーナーから、新しい機能や、新たに出現した彗星などの情報をダウンロードすることで、常に最新の天文現象にも対応できるようになる。

また、SX赤道儀シリーズは、アストロアーツ社の天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ7」にも対応しているので(バージョンアップが必要)、LANケーブルでパソコンと接続すれば、ソフトを使って天体望遠鏡を制御することができ、パソコン上の画面と連動させながら目的の天体を探し出せるようになる。

SX赤道儀シリーズ
SXWマウント
自動導入装置 STAR BOOK標準装備/最大導入速度:1200倍速(対恒星時)
電源、消費電流 DC12V、0.4~1.7A
大きさ 高さ36cm×幅36cm×厚さ12cm
重さ(ウェイトを含まず) 6.8kg
ウェイト 1.9kg
STAR BOOKコントローラー
CPU 32Bit Risc プロセッサ:CS89712
画面 STN型4.7インチカラー液晶画面
電源端子 DC12V EIAJ RCF5320A Class4
オートガイダーAGA-1端子 6極6芯モジュラージャック
赤道儀側接続端子 D-SUB9PIN
LAN接続端子 10BASE-T
電源 観測時は赤道儀より供給
消費電力 STAR BOOK単独使用時:約0.25W(最大)
大きさ 縦19.5cm×横14.5cm×厚さ2.8cm
重さ 400g(ケーブル類を除く)
記憶天体数 総数22,725個

ミードETX-70AT

どこにでも持ち運べる小型で軽い望遠鏡

小さくてどこでも星が観測できるETX-70AT

小さくてどこでも星が観測できるETX-70AT

株式会社ミックインターナショナル

家族でキャンプに行った時に夜空を眺めてみたい、あるいはマンションのベランダから気軽に天体観測を楽しみたいといった時に、天体望遠鏡があると便利だが、大きくて車で持ち運ぶのも大変、三脚や架台などを組み立てるのが面倒といった問題が出てくる。そんな悩みを解決して誰でも天体観測を楽しめるものとしてくれるのが、小型サイズの天体望遠鏡「ミードETX-70AT」。三脚が不要で重量約2.7kgの軽量は、子どもと一緒に観測を行うのにも最適な機種となる。

三脚が無いので、テーブルの上など下が平らなところならば、そのまま置いて、すぐに観測を始めることができる。使用されているのが扱いやすくて明るい短焦点レンズなので、天体観測に限らず、昼間に地上の景色を見るなど自然観察一般で楽しめる。

目的の星を自動的に探し出すオートスター

目的の星を自動的に探し出すオートスター

「ミードETX」シリーズは屈折式から反射式まで、様々な種類のものが出ているが、その全てに自動的に天体をとらえてくれるオートスターが標準装備されている。 望遠鏡を北に向けてから日付と時間を入力すると、一番明るい星の自動探索を開始。

そこでオートスターの画面に表示される指示に従って見たい天体を探してからGO TOキーで決定すると、望遠鏡が自動で目的の天体の方角に動いてくれる。「ミードETX-70AT」に装備されているオートスター♯494には1,400個(上位機種となるオートスター♯497には約30,000個)の天体データが収められているので、見たい星がすぐに探し出せる。そして、一度星をとらえたら地球の自転に合わせて望遠鏡を少しずつ自動追尾で動かしてくれるので、長時間の観測でも見失うことが無い。望遠鏡を動かす動力は単3電池6本で、連続20時間は動き続ける。

「ミードETX-70AT」は小学校中学年ぐらいの子どもでも扱うことができるような操作が簡単な天体望遠鏡。そういうことから、ユーザーズ・マニュアルも、文章だけでなくマンガも使って分かりやすく使い方が説明されている。これを読めば、アイピースの付け方からオートスターの操作の仕方まで、誰でもすぐに理解することができる。

また、パソコンと専用ケーブルで接続することで、別売の専用ソフト「ETX/LXナビゲーター」を使って、天体ガイドや今夜のおすすめ天体をパソコンの画面に表示しながら望遠鏡を制御することができるほか、同じく別売のデジカメアダプターを取り付ければ、市販のデジタルカメラで天体写真を撮ることも可能となる。

ミード ETX-70AT
倍率・接眼レンズ 14倍(MA25)、39倍(MA9)
有効径 70mm
焦点距離 350mm
分解能 1.6秒
集光力 100
口径比 F5
極限等級 11等
最短合焦点距離 約5.2m
コントローラー コンピュータードライブオートスター(♯494)標準装備
電源 単3電池6本(別売)連続20時間駆動
重量 約2.7kg

Binoshot CV-5

見たものをデジカメで撮れる双眼鏡

見えているものを、すぐにデジカメで撮影

見えているものを、すぐにデジカメで撮影

株式会社ミックインターナショナル

野鳥観察などの際に活用される双眼鏡だが、見つけたものを、その瞬間に写真に残しておきたいと思ったときに役に立つのがデジタルカメラ内蔵の双眼鏡「Binoshot」(ビノショット)。見ている光景を、そのまま残せることがデジタルカメラ付双眼鏡の売りだが、中でも、明るい大口径42mmの「CV-5」は、折りたたみ可能なフリップ液晶モニターで、その場で撮った画像を確認できることから人気の品となっている。

 双眼鏡の倍率は8倍で、デジタルカメラの画素数は200万画素。実際に屋外で使ってみると、夕暮れや日の出前のような光量が足りない暗い時でも、明るく見えるということが分かる。「Binoshot」を使って撮影した画像は、普通のデジタルカメラと同様に、パソコンに取り込んで保存しておくことが可能。野鳥などの生き物もそうだが、屋外で何かを観察する時には、あまり近づくことができないといったことが多いが、「Binoshot」を使うことで、じっくりと観察することができ、なおかつ見つけたものを画像に残しておけるので、キャンプなどアウトドアの場に持っていくと、様々な場面で楽しめる。

コンパクトで軽いCV1

コンパクトで軽いCV1

また、双眼鏡のピントを調整した時点で、デジタルカメラの焦点も対称に合ってくれるので、普通のデジタルカメラ以上に気軽に撮影することができる。そのため、子どもに持たせて、気に入ったものを撮らせてみるといった使い方も考えられる。

電源も単3電池2本なので、すぐに交換することができ、どこでも購入できるのが、うれしいところ。予備の電池さえ用意しておけば、野外で使っていても電池切れで困るようなこともない。

生活防水機能付きで濡れても安心のCV4

生活防水機能付きで濡れても安心のCV4

スポーツ観戦や観劇にも便利なアイテムで、普通ならば豆粒のようになってしまう人の動きも、間近で見ているような迫力で楽しめる。特に野球のナイトゲームや劇場など、周りが暗くて見るものに照明があたっている場所では、くっきりと明るく見えるというのが特徴。これまでにもデジタルカメラが付いた双眼鏡はあったが、それほど画素数も高くなく、価格も「Binoshot」に比べると高かったというのが、一般に普及しなかった原因と思われる。

 なお、「Binoshot」シリーズの他の機種としては、334gの軽量でコンパクトタイプの「CV-1」、海や川などで濡れても安心な生活防水機能付きの「CV-4」といったラインナップが用意されている。

Binoshot CV-5
双眼鏡倍率 8倍
レンズ口径 42mm
カメラ画素数 CMOS 200万画素
遠近切替 無し
SDカード 対応
USB 2.0
サイズ 140mm×190mm×160mm
重さ 750g
付属ソフト対応OS Windows ME、2000、XP

デジタル双眼立体顕微鏡

観察したものをパソコンやテレビに映し出す

生物顕微鏡で見た画面

生物顕微鏡で見た画面

株式会社内田洋行

小学校高学年ぐらいになると、学校の理科の授業で顕微鏡を使うようになるが、最近ではデジタルカメラと顕微鏡が一体化したデジタル顕微鏡を使う学校が増えてきている。顕微鏡は大きく分けると、微生物や生物の細胞などを観察する際に用いられる生物顕微鏡と、虫や葉っぱなど立体的なものを観察するのに適した双眼実体顕微鏡の2種類に分けられるが、内田洋行からは、それぞれにカメラチップを内蔵したデジタル顕微鏡が出されている。普通の顕微鏡で観察した場合、画像を残しておこうと思ったら、苦労してカメラを取り付けなければならないが、デジタル顕微鏡ならば、すぐに撮影して画像をデータとして残しておける。そして、撮影した画像データは、JPEGやBMPの形式で、また動画はAVA形式で保存されるので、メールで誰かに送ることや、ホームページで公開することもできる。

デジタル顕微鏡の最大の特徴といえば、見た画像をパソコンやテレビの画面に映し出せること。これまで顕微鏡の画像は覗いている本人しか見られなかったが、これで一度にたくさんの人が見られるようになった。デジタル顕微鏡には、パソコンのみに接続できるMUタイプと、パソコンとテレビの両方に接続できるUVタイプがあるが、学校の場合教室や理科室にパソコンが常時無いところも多く、UVタイプを求めるところも多い。さらに、液晶プロジェクターなどに接続すれば、大画面に投影させることができるので、先生が観察してもらいたい部分を指し示しながら、説明するといったことも可能となる。

  • SB600MU

    SB600MU

  • SBW1500HMU

    SBW1500HMU

  • SR42MU

    SR42MU

デジタル顕微鏡で見た画面。小さな四角内に長さや面積が表示されている。

デジタル顕微鏡で見た画面。小さな四角内に長さや面積が表示されている。

デジタル顕微鏡は静止画だけでなく、動画の撮影にも対応しているので、微生物や昆虫の動きや、変化していく結晶の様子など、貴重な瞬間の映像を残しておくことができる。また、一定間隔で自動的に撮影されるコマ撮りも行えることから、ウニの卵割のような生物の成長の様子も逃さずに記録することができ、コマ送りで撮影した画像を比較すると、その流れが一目で分かる。

その他にもデジタル顕微鏡には、長さを測定できる機能が付いているので、ミジンコやメダカの卵などの画像をパソコンに取り込んで、カーソルを合わせることで、その長さや面積が表示される。さらに、画像の編集も付属のソフトウェアで簡単に行えるので、その画像を貼り付けるなどしてレポートを作成する際にも手間がかからない。

また、デジタル顕微鏡のシリーズには、従来のアナログの生物顕微鏡や双眼実体顕微鏡に接続させることで、見ている画像を映し出せるカメラ装置といった製品も出されている。

デジタル双眼実体顕微鏡
型名 SSR-42MU、SSR-43UV
出力端子 SSR-42MU:USB2.0 SSR-43UV:USB、RCA(ピンジャック)、S
有効画素数 SSR-42MU:約130万画素 SSR-43UV:約41万画素
鏡筒 双眼、45°傾斜板鏡筒
接眼レンズ WF10
対物レンズ 2倍、4倍 回転変倍式
総合倍率 20倍、40倍
照明装置 落射(12V・10W)、透過(12V・5W)、個別・同時可能
寸法 220mm×225mm×310mm
質量 約4.1kg
付属品 日本語版ソフト、接続ケーブル、ダストカバー、ACアダプター、校正用プレパラート他

これまで扱うのに、それなりの知識や技術が必要だった天体望遠鏡や顕微鏡が、最新の技術によって誰でも簡単に使えるものとなりました。色々な機能が付加された最新の観察グッズを使って、子どもと一緒に自然観察を楽しんでみてはどうでしょうか。

※当記事の情報は、公開当時のものです。

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