2013.08.20
  • x
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

子どもの行動を観察しよう

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV) 関田 聖和

 先日,2つの中学校,3つの小学校・3つの幼稚園の研修でお話をさせていただきました。

先生方が拙い話を熱心に聴いてくださり,本当に有り難いなと思いました。

聴き手が上手だと,話し手も滑らかに話すことができるそうです。わたしも少し時間が足りなかったなって,

感じるぐらい,あっという間の時間でした。その中から1つ話題にしてみます。

 

 

その子どもが取る行動には,必ず理由がある

 子どもが取る行動に対して,一喜一憂してしまうことがあります。でも,ちょっと待った!なのです。

普段はできていても,ある場面になると,できない子どもがいます。

つまり不適切な行動をを取る子どもたちのことです。

A) 自習課題でも,真面目に取り組む子ども。

B) 自習課題になると,さぼってしまう子ども。

このような場面に出合ったことはありませんか。

でもそのような行動を取るのには,

必ず理由がある


のです。それは,経験や心情によって差があります。

A-1) 自習課題に取り組んでいなくて,叱られた経験がある。

または,

A-2) 自習課題に真面目に取り組んで,良い事があった。

などの経験があったらどうでしょうか。


また次のような場合もあるでしょう。

B-1) 自習課題をしなかったのに,休み時間になり,しなくてもよくなった。

B-2) 自習課題をしなかったため,先生が叱ったことで,先生と関わりがもてた。

といった視点です。

A-1 については,叱られた経験から,しなくてはいけないという行動を取りました。

叱られるということは,弱化(嫌子を与えること)を与えられたと言います。

A-2 については,良いことがあった経験から,課題に取り組みました。

良い事は,強化(好子を与えること)与えられたと言います。

この強化と弱化をうまくつかうのです。

 

 

最低1週間は,観察する

 子どもの行動1つだけを取って,あの子どもは,こうだ!と決めてしまうのは,

ラベリングとなってしまい,決めつけです。最低でも,一週間は,観察したいものです。

不適切な行動が起きたときの

・時刻  

・どんなとき  

・どんな行動  

・その時の対応  

・対応後の様子

の5つの観点です。

この記録をとり続けていくと,傾向が見えてきます。

そして,子どもの行動のうらにあるもの,そして,その行動が起こるきっかけに見当をつけるのです。

 

 

背景要因と誘発要因の見当をつける

 たとえば,

「授業中,友だちに話しかける」 と言った不適切行動が起こったことを例に挙げます。

 数学の時間中に,少し時間のかかる計算問題を提示すると,

ある子どもは,友だちに話しかけて,しようとしませんでした。

そこで,担当の先生が,注意をしました。そうすると休み時間のチャイムが鳴り,

その子どもは遊びに行ってしまいました
。


実は,この子どものかんさつを続けていると,

慢性的な睡眠不足と計算問題が苦手だったのです。

体調と学習経験からくる課題です。

場合によっては,発達障がいからくる課題もあるでしょう。

 これが,子どもの背景要因です。

そこで,練習課題として,時間のかかる計算問題が提示されました。

苦手意識があればあるほど,嫌だという気持ちが湧き起こったことでしょう。

この過程までを先行条件とも言います。

 次にその子どもは,友だちに話しかける行動を取りました。

これは,不適切行動です。こういった行動は減らしたいです。

しかし観察記録からは,国語や社会では,こういった行動が見られなかったのです。

そこで,友だちに話しかけると言った不適切行動が,とられたきっかけは,

時間のかかる計算問題のようです。これは,誘発要因と言えます。

 その不適切行動に,先生が注意しました。そのことにより,その子どもは,

先生と話をすることができ,独占することができた

のです。そして,

チャイムが鳴り,休み時間になった。

       だから課題をしなくて良くなった。

のです。

 この先生が注意し,しなくて良くなったところまでを結果条件と言います。

これらの行動を分析すると,

背景要因……睡眠不足・計算問題が苦手

誘発要因……時間のかかる計算問題


そして,

先行条件(Antecedent)
……睡眠不足で,計算問題が苦手な上に,

  時間のかかる計算問題が出題された

行動(Behavior)
……友だちに話しかけた

結果条件(Consequence)
……先生と話ができ,課題をしなくて良くなった


と分析することができます。こういう分析の仕方を頭文字を取り,

ABC分析(応用行動分析)と言います。

 

 

強化と弱化の好子,嫌子を組み合わせる

 こうした不適切な行動を取ることを防ぐために,先述した,

強化と弱化を組み合わせて,指導に当たります。

例えば

強化(好子を与える)

課題を始める → ごほうび

強化(嫌子を除去)

課題を始める → 叱るのをやめる

弱化(嫌子を与える)

課題をさぼる → 叱る

弱化(好子を除去)

課題をさぼる → 休み時間が減る


などです。

不適切行動に替わる代替行動を提示しなくてはいけません。

もちろん,代替行動が強化されることが目標です。だから,

不適切行動をすると,好子がもらえにくく,

代替行動を取りやすい援助をすること


が,ポイントになります。

代替行動がとれたら,すぐに同じ好子を与えます。

「○○ちゃんだけずるい」といったことにならないように,

どの子どもも同じルールにできるといいですね。

プライドが許されるのならば,課題数を減らすことも可能でしょう。

クラス内で,時間のかかる課題を1種類では無く,難易度に分けた3種類を提示する

課題の選択制も良いでしょう。

 

 

予防的な学習・生活環境を

 頭ごなしに怒鳴りつけたり,押さえつけたりするような指導は,対処療法です。

命に関わるようなときや何度言っても改善しない場合に,大きな声を出すということは,ありでしょうが,

叱る側が感情的に怒鳴る指導は,教師指導の敗北

だと考えています。

また,叱った先生などに嫌悪感が高まる子どももいます。

その場を治めるために「まあまあ。」といって沈静化をはかってしまうとそれは,容認したことになります。

説教・説得のほとんどは,理解されません。「分かりました」と言っても,行動に反映されないことが多いです。

不適切な行動を起こさなくても済む,予防的な学習・生活環境をつくっていきたいものです。




関田 聖和(せきだ きよかず)

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop