甘さを比べよう!【食と科学】[特別活動

 寒くなってくると欠かせないのが焼き芋。サツマイモが健康食として注目されるようになってから、様々な料理や加工品が紹介されていますが、中でも焼き芋はサツマイモ料理の基本です。焼き芋を作るには、電子レンジでチン、これが簡単です。でも電子レンジではおいしい焼き芋はできません。なぜなら焼き芋の甘さはゆっくりと時間をかけて加熱されることで引き出されるからです。焼き芋の甘さについて考えながらその秘密に迫ります。科学クラブ(クラブ活動)で1時間ほどの活動です。

「甘さ比べ」実験の手順

サツマイモを4等分に切る
サツマイモを4等分に切る
二通りの方法で加熱
二通りの方法で加熱

(1)サツマイモを半分に切り、さらに半分に切る。
(2)次の二通りの方法で加熱する。
■電子レンジ(強)で5分間加熱。
■電子レンジ(弱)で10分ほど加熱。

電子レンジで加熱する前に、子どもたちにどちらがおいしいか聞きます。ほとんどの子が、「長い時間の方が甘い」と予想しました。そこで、おいしさを比べるポイントについて話し合いました。子どもたちからは、甘さ、ほくほくさ、固さ、しっとり感といったポイントが出てきました。

食べ比べてみると

加熱したサツマイモを取り出して、皆で食べ比べるために切り分けます。試食の結果は、
「時間が長いほうが甘い」
「ほくほくさもたっぷりだ」
 と、加熱時間を長くした焼き芋の方がおいしいという子がほとんどでした。中には、ほとんど変わらないという子もいました。原因は、サツマイモの切り方が一様でなく厚さにばらつきがあったせいだと思われます。

皆で切り分けて食べ比べ
皆で切り分けて食べ比べ
どっちがおいしいかな?
どっちがおいしいかな?

ここで、焼き芋が甘くなる仕組みを説明します。サツマイモにはアミラーゼという酵素が含まれています。でんぷん自体は甘くはありませんが、加熱されるとこの酵素が働き始め、でんぷんを細かく分解して甘い麦芽糖に変えてくれます。アミラーゼが活発に働くのがおよそ65℃から75℃の温度帯です。ですから甘い焼き芋を作るためには、この65℃から75℃の時間帯をいかに長く保持するかがポイントになります。

電子レンジ(強)では、急激に温度が上がりアミラーゼが十分に働きません。柔らかいけど甘くない焼き芋になってしまいます。電子レンジ(弱)の場合は、温度変化がゆっくりであるため、電子レンジ(強)で加熱した時よりも甘い焼き芋になるのです。とはいえ、電子レンジではサツマイモの内部の温度が一気に上がりますので、でんぷんが糖に変わる時間が極端に短く、甘みの薄い焼き芋になってしまいがちです。

さて、焼き芋といえば「石焼き芋」。電子レンジの代わりにオーブントースターで加熱すると、かなり石焼き芋の甘さとおいしさに近づきます。石焼き方式では、温められた石からイモにゆっくり熱が伝わるので、甘くなる温度帯の時間も長くなります。ですから、熱した灰の中に埋めて焼く方法や、大きなつぼや鉄釜で蒸し焼きにする方法でも、ゆっくりと時間をかけてサツマイモを加熱するため、アミラーゼによる麦芽糖の生成が徐々に増え、甘さが十分に引き出されるのです。

文:藤本勇二 イラスト:あべゆきえみうらし~まる〈黒板〉

授業の展開例

-焼き芋の醍醐味は、たき火をしながら作ること。キャンプなどでたき火をする機会があったら、ぜひ焼き芋作りに挑戦してみましょう。

-干し芋は、蒸かしたての状態から、時間をかけて干して作ります。おいしい干し芋を作るためには、ゆっくり、じっくり蒸かすのが基本であることは焼き芋と変わりません。干し芋を作ってみましょう。表面に出た白い粉は、酵素が作った糖分が表面に浮き出たものです。