2016.11.16
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PROGRAM4 The Pillow~Our Ideal Breakfast~ 【食と栄養】[中2・英語]

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイディア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子ども達の興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第120回目の単元は「PROGRAM4 The Pillow~Our Ideal Breakfast~」です。

食育:PROGRAM4 The Pillow~Our Ideal Breakfast~イメージイラスト

栄養バランスの良い朝食が心身の健康のために大切だと意識させることを目的に、自分が食べたい朝食を思い描かせ、それが健康に良いかを英語で話し合います。様々な家庭の事情を考慮し、普段の朝食ではなく、理想の朝食を話題にすること、絵を使ったり、栄養教諭のアドバイスを取り入れたりすることで、生徒がより取り組みやすい授業となるように工夫した全2時間の2時間目の授業を紹介します。

普段どんな朝食を食べているか、英語を使って質問し合う

1時間目は、朝食についてのアンケートをProgram4の授業の中で10分間ほど行いました。それを受けて、2時間目:Our Ideal breakfast として、Program4の授業の中で25分間行いました(Program4の指導計画は全4時間ですが、その中の一部を使って授業を行いました)。

本時の目標は、食品の栄養素とその働きを確認し、英語を使って分類した後、各自の考える理想の朝食について、それがヘルシーかどうかを話し合う中で、健康のために良い朝食が大切であることに気づくことです。

理想の枕の発明という題材と、睡眠や朝食といった普段よく英語の授業で話題にするトピックを関連づけて、食育の授業を盛り込みました。

授業は、まず
「Did you eat breakfast this morning?」
とお互いに聞き合い、Greeting & warm-upを全体で行います。そして、Warm-upからの流れで朝食について興味を持たせ、本時の話題につなげる自分の普段の朝食について話します。
「What do you usually have for breakfast?(普段、朝食で何を食べていますか?)」
と質問し、
「I usually eat ~.」
と答える会話を、【ペア学習】→【全体】の順に行いました。

自分が食べたい理想の朝食について、英語を使ってペアで質問し合う

次に、自分が食べたいと思う朝食を理想の朝食として、自由に言わせます。
「What’s your ideal breakfast?」
と聞きながら、お互いの理想の朝食は何か出し合います。
「If I can, I’ll eat ~,~ and ~.」
と、前時に描いた理想の朝食の絵を見ながら答えます。

これを【個人】→【ペア学習】→【全体】の順に行いました。

主食、主菜、副菜等の働きを確認し、朝食に使われる食品を英語で発音し、分類する

“Salad green, bread yellow, ham red”と皆で食品を分類する

“Salad green, bread yellow, ham red”と皆で食品を分類する

朝食に出る食品を主食、主菜、副菜、その他に分類します。リストで確認をして、栄養のバランスを意識させます。

主食、主菜、副菜、その他を色で表現し、英語で簡単に言えるようにします。主食はyellow、主菜はred、副菜はgreen、その他(乳製品など)はblueのように、色で分類することでわかりやすくしました。
「Salad green, bread yellow, ham red」
というように、全員で食品を分類します。働きについては、日本語を使って確認しました。

それぞれの理想の朝食について、健康的かどうか、英語で話し合う

質問者「What do you think of my ideal breakfast?」
答えA「I think it’s healthy.」
答えB「I think it’s not healthy.
You should eat more vegetables.」
というように、まず1~2名の生徒の理想の朝食を見て、全体で考えます。

次にペアで、友達の理想の朝食について健康的かどうかについて話し合います。栄養バランスから判断させ、「これを食べたらいいよ」とアドバイスをし合うのです。

栄養教諭からのアドバイスをもらったものを紹介する

最後に、栄養教諭からのコメントを紹介し(予めパワーポイントで作成した朝食の絵とアドバイスを添えた画像を提示する)、良い朝食が元気な1日の生活につながることを知らせます。

このようにして、生徒達は皆でHealthy breakfastこそideal breakfast(理想の朝食)であることに気づいていきました。

授業の展開例
  • 家庭科の栄養素や6つの食品群についての学習で、朝食について取り上げてみましょう。
  • 栄養教諭や養護教諭から、朝食の働きについての話を聞いてみましょう。

藤田 真由美(ふじた まゆみ)

兵庫県加古郡稲美町立稲美中学校 主幹教諭
26、27年度、文科省のスーパー食育スクール(SSS)の指定を受けて、2年生を中心に、学校全体で食育に取り組みました。各教科の学習の中に少しだけ食育の要素を取り入れ、教科学習と関連づけて食育を教える『ちょこっと食育』は、教師皆で取り組むことで、教師自身の食への意識を高め、生徒達への食育の浸透を促していると感じています。SSSでの食育の様々な取組みを無理なく、続けていくことが、大切と感じています。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

監修:藤本勇二/文・藤田真由美/イラスト:あべゆきえみうらし~まる〈黒板〉

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