2018.03.07
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意外と知らない"デジタル教材"(vol.3)

今回は、1人1台端末の時代のツールやコンテンツについてご説明します。

1人1台端末の環境は、21世紀に入って突然に出てきたわけではなく、PC教室への据え置き型端末の導入→普通教室への指導・提示用PCの導入→普通教室で使うタッチパネルを備えた端末の導入と徐々に端末の形状や活用場所を変えて学校現場に浸透しはじめています。

現在市場に出回っている、それぞれの端末の管理に対応するツールから、1人1台端末に対応した学習用のコンテンツのご紹介をしたいと思います。

PC教室内でのPCの管理という問題

富士通(株)の「瞬快」

富士通(株)の「瞬快」

学校内で、授業でPCを使う場所と言えば、現在は「PC教室」か、普通教室に1台設置してあるという例が主流かもしれません。そのような環境下で、児童・生徒が数十台のPCを一斉に使うと、「どのように管理するのか」という問題が出てきます。児童・生徒が誤ってファイルを消去してしまい、そのPCが使えなくなってしまったら大変です。その度にPCを手動で設定し直すという方法は現実的ではありません。

そこで、PCの管理の手間を軽減するために使われるのが、「環境復元ツール」です。PCを再起動すると予め設定した環境に元通りに戻るため、管理の手間を大幅に軽減することが可能となります。多くの学校でも採用されており、「瞬快」や「Winkeeper」などが代表的な環境復元ツールです。

発想やソフトウェア自体は古くからあるものですが、今では復元機能だけに留まらず、遠隔でPCを管理したり、ファイルを配布したりと多機能なツールへと発展しました。

授業支援システムの変遷

初期の頃の授業支援システム(株)内田洋行JANETの後継品の「JOYNETシリーズ」

初期の頃の授業支援システム(株)内田洋行JANETの後継品の「JOYNETシリーズ」

PCを一斉授業で使うにあたり、教員が児童・生徒のPCに操作介入を行ったり、画面提示を行うことができれば便利です。意外と知らない"デジタル教材"(vol.1)でもご紹介しましたが、CAI(コンピュータ支援教育)システムが開発され「パソコン教育」の現場では様々な試みがなされてきました。初期の頃のCAIシステムは専用制御装置の設置や映像伝送ケーブルの敷設など、大掛かりな仕組みでした。その後、1980年代後半にはソフトウェアで動く初の授業支援システム「JANET」が(株)内田洋行より販売開始されました。当時のネットワーク伝送速度やPCの処理速度の関係から映像伝送こそできなかったものの、課題ファイルの配布・回収機能や、児童・生徒の端末の遠隔制御など、現在の授業支援ソフトの基礎となる機能を備えていました。その後も徐々に改良が進み、現在ではPC上のソフトウェアで完結する授業支援システムが主流となっています。

PC上のソフトウェアで動く(株)内田洋行の「ActiveSchool」

PC上のソフトウェアで動く(株)内田洋行の「ActiveSchool」

(株)コードタクトのクラウド型授業支援システム「schoolTakt」の利用シーン

(株)コードタクトのクラウド型授業支援システム「schoolTakt」の利用シーン

PC上で動く授業支援システムは、親機端末が必要という特徴があります。多くの場合は、先生のPCが親機を兼ねており、まず先生のPCを立ち上げ、その後で児童・生徒のPCから親機に対して接続しにいくという手順を守る必要があります。

時代はクラウドということで、授業支援システムにもクラウドの仕組みが持ち込まれるようになりました。親機にあたる管理するシステムがクラウド上で常時動いているので、個々のPCやタブレット端末のインターネットブラウザから、クラウド上の管理システムにログインすれば使えるという仕組みです。クラウド型の良いところは、アプリケーションのインストールが要らないことや、インターネットにさえ繋がっていれば、他校からでも同時に参加することができることです。現在、「schoolTakt」という商品が実用化されています。理論的にはインターネットに繋がっていれば他校との交流授業にも授業支援システムが使えるようになりますので、新たな可能性が広がりそうです。

1人1台端末ならではのコンテンツ

(株)がくげいの「タッチ教科書」文字認識による正誤判定機能をそなえる。

(株)がくげいの「タッチ教科書」文字認識による正誤判定機能をそなえる。

現在、学校現場に導入される1人1台端末はタブレット型端末や、タッチパネル機能付きノートPCなど、形状はいくつかありますが、いずれもタッチパネル機能が搭載された端末がほとんどです。手書き入力ができる端末が利用されていることから、1人1台端末向けのコンテンツはキーボード操作ではなく、タッチ操作ができるコンテンツが多く出ています。

個人が端末を保持していれば、提示型一斉授業ではなく、個別学習に活用することができますので、ドリル型コンテンツが市場にて販売されています。回答をキーボードで入力するタイプのドリル型コンテンツもありますが、手書き入力した回答を正誤判定する機能を備えたドリル型コンテンツも登場しています。また、漢字を認識して書き順を含めた正誤判定を行う「ペンまーる」というツールも販売されています。

(株)内田洋行のノート専用ツール「デジタルスクールノート」

(株)内田洋行のノート専用ツール「デジタルスクールノート」

一方、手書き・書き込みという観点から、タッチパネルを備えた端末をノートとして活用しようという発想で開発された商品も存在します。日常的に1人1台の端末を使うためには、簡便に扱えるソフトウェアが市場から必要とされ、学校市場用に特化した「ノートツール」が各社から販売されています。

Chrome Bookは新たな黒船か

米国の教育市場で急速に普及しだしたChrome Book(画像は、ASUS JAPAN (株)より)

米国の教育市場で急速に普及しだしたChrome Book(画像は、ASUS JAPAN (株)より)

WindowsやMac、iOSやAndroidでもない米国Google社が開発したChrome OSを搭載したChrome Bookと呼ばれる端末があるのをご存知でしょうか。

米国Google社は自社が提供するChrome OSが動くChrome Bookと呼ばれる端末に向けに「G Suite for Education」というツールを無償で提供しています。Microsoft Officeのようなワープロや表計算アプリケーション、スマートフォンでもおなじみのGmailの提供に加え、授業支援システムのような機能を搭載したGoogle Classroom、さらには環境復元ソフトに類似した端末環境一斉管理ツールの提供もなされています。個々の機能は有償ソフトウェアに比べると限られている場合もあるようですが、一式が教育期間向けに無償で提供されるのはうれしいポイントです。

Chrome Bookは北米の教育機関で急速に普及し始めているようです。初等中等教育機関に新規に導入された端末の割合で見ると、Chrome Bookが5割を超えているようです。

新興のChromebookが急速に普及し出した背景には、G Suite for Educationが無償提供されていることと、Chromebookの構造が比較的簡易であるために、端末が安価に提供されていることが理由として考えられます。日本でもG Suite for Educationは利用できますので、国内でも導入する自治体・学校が少しずつ増えてくるかも知れません。

最後に

1人1台端末を家庭に持ち帰ることを認めている学校はまだ少数ですが、今後端末が安価になり普及しだすと家庭学習でも用いられることになるでしょう。学校でも家庭でもシームレスに使える学習ツールがどのような形で今後登場してくるか、期待したいところです。

構成・文:内田洋行 学びのコンテンツ&プロダクト企画部 石島有剛

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