2021.06.18
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<特集>学習者用デジタル教科書(vol.5) 東京書籍:学ぶ喜びを体感できるようなデジタル教科書・教材づくり

デジタル教科書によって何ができるようになるのか、先生の指導や子どもの学習の在り方はどのように変わっていくのか、最終回となるvol.5では、東京書籍にお話を伺いました。

2006年には現在のデジタル教科書の雛形を発行

Q1 デジタル教科書はいつから発行されていますか。開発の歴史などを教えてください。

東京書籍が初のデジタル教材として「デジタル掛図」を発行したのは2002年、中学校英語の「デジタル教科書」を発行したのは2006年でした。教科書にある本文や図や写真をデジタル化し、様々なコンテンツを画面からクリック一つで操作できる、という現在のデジタル教科書のフォーマットはその頃に完成された、とも言えます。

その後、2011年小学校の教科書改訂にあわせて、初めて「指導者用デジタル教科書」として発行しました。現在は小学校から高等学校まで指導者用デジタル教科書(教材)や教師用指導書付属のデジタルブック、そして学習者用デジタル教科書・教材を発行しています。

ICTプラットフォーム Lentrance(レントランス)を採用

Q2 学習者用デジタル教科書の特徴を教えてください。

東京書籍の学習者用デジタル教科書・教材は、株式会社Lentranceが提供している「Lentrance Reader」というビューアを採用しています。Lentranceビューアは以下のような特徴があります。

  1. 複数の教科や教材を1つのビューアで一括管理
  2. 学習を支える便利な機能を豊富に搭載
    ①見たいところを自由に拡大することができます。
    ②ペンツールなどを使って書きこむことで、学習の記録を残すことができます。
    ③参考資料(Webページ)へのリンクを貼ることができます。
    ④2つの教科書・教材を並べて表示(2画面表示)できます。
  3. 特別支援に対応(教科によって仕様が異なります)
    ①文字の大きさ変更(リフロー表示)
    ②本文の読み上げ
    ③文字色・背景色・行間の変更
    ④ふりがな、分かち書き表示
  4. 教科書と連携するDマークコンテンツ(デジタルコンテンツ)を直接立ち上げ可能
  • 一括管理の画面

  • 書き込み画面(数学)

  • ふりがな、分かち書き表記(技術)

  • Dマークコンテンツ(地理)

自分たちの学びをクリエイトするために使用

Q3 デジタル教科書の使用によって、指導や学習の在り方はどのように変わっていきそうですか。

指導者用デジタル教科書(教材)の導入率は50%を超えました(令和2年3月)。教師にとって指導用のツールとして既に市民権を得ています。指導者用デジタル教科書が一斉授業の演示用として使用されるのに対し、学習者用デジタル教科書・教材は児童・生徒一人ひとりが自分たちの学びをクリエイトしていくために使用するものだと思います。教科書に出てくる問題や課題に対して、解答や解決方法を試行錯誤しながら、自らの手で、また友達と共有しながら学んでいく新しい教材です。指導書用デジタル教科書(教材)と学習者用デジタル教科書・教材の組合せで、紙の教科書では実現できなかった、より豊かな学びを広げていくことができます。東京書籍はそのような学ぶ喜びを体感できるようなデジタル教科書・教材づくりにこれからも取り組んでいきたいと思います。

5回にわたって、デジタル教科書について考えてきました。「教科書」のイメージがだいぶ変わったのではないでしょうか。令和時代の子どもたちは、大人たちの想像を超えて使いこなしていくでしょう。

文・画像:東京書籍

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