2021.05.05
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<特集>学習者用デジタル教科書(vol.3) 教育出版:充実したアクセシビリティ機能と、バリエーション豊かなコンテンツへのリンク

デジタル教科書によって何ができるようになるのか、先生の指導や子どもの学習の在り方はどのように変わっていくのか、光村図書に続き、vol.3では、教育出版にお話を伺いました。

Q1 デジタル教科書はいつから発行されていますか。開発の歴史などを教えてください。

学習者用デジタル教科書に最適なビューアの開発

教育出版(株)では、指導者用デジタル教科書を2005(平成17)年度版から制作し、2011年(平成23)年度版、2015(平成27)年度版と制作を重ねてきました。小学校の指導者用デジタル教科書は、現在の2020(令和2)年度版が4回めの発行となります。

また、学習者用デジタル教科書については、実質的な「学習者用デジタル教科書元年」といえる2020(令和2)年を迎えるにあたり、2018年から児童・生徒をユーザーの中心に据えたビューアの開発とプラットフォームの構築に取り組みました。具体的には、システム開発会社の富士ソフト(株)と、教科書出版社の(株)学研教育みらい、学校図書(株)、教育出版(株)との共同プロジェクトで議論を重ね、2019年に「みらいスクールプラットフォーム」を公開し、現在これを共通基盤として、学習者用デジタル教科書および指導者用デジタル教科書を発行しております。

Q2 学習者用デジタル教科書の特徴を教えてください。

児童・生徒の試行錯誤のフィールドとして、また、考えを共有するためのツールとして

多くの児童・生徒にとって、紙の教科書に書き込むことは、消しゴムで消しても書いた跡が残ったり汚れたりするので、勇気のいる行為です。しかし、デジタル教科書に書いたり消したりすることはとても簡単で汚れる心配もないため、学年を問わず「安心してどんどん字を書ける」「ためらわずに線を引ける」という声をいただいております。このように、学習者用デジタル教科書は、児童・生徒が試行錯誤しながら学ぶ機会を提供します。また、端末の画面を児童・生徒どうしが見せ合ったり、先生が授業支援システムを併用して電子黒板などで学級全体に提示したりすることで、児童・生徒一人一人の意見を互いに共有できることも、大きな魅力のひとつです。

充実の学習者支援機能で誰一人取り残さない教育を

学習者用デジタル教科書の使用にあたっては、紙面を「ふりがなつき」や「白黒反転」にしたり、学習者支援タブで表示方法(縦書き横書き、文字サイズ、行間、文字色・背景色など)を設定したり、「分かち書き」にしたり「自動音声読み上げ」を行ったり、さまざまな児童・生徒の多様な特性に応じた表示や再生ができます。

ウェブリンクで広がる学び、デジタル教材で広がる学び

教育出版の教科書にはウェブサイトの参考情報につながる「まなびリンク」マークがありますが、デジタル教科書では、この「まなびリンク」マークを1クリックすることでウェブサイトの参考情報を表示することができます。ウェブサイトには、動画や音声など、さまざまな参考情報を用意しています。また、算数・数学、英語など一部の教科では、有償の「学習者用デジタル教材(学習者用デジタル教科書と一体型)」を準備しています。例えば、「小学算数 学習者用デジタル教科書+デジタル教材」にはシミュレーションを含むバリエーション豊かなコンテンツを数多く収めたり、「小学英語 学習者用デジタル教科書+デジタル教材」には豊富な音声や動画を収録したりして、教科の特性に応じたさまざまな活動を促し、学びを広げます。

  • 「ふりがなつき」紙面

  • 学習者支援タブの「分かち書き」表示

  • 「まなびリンク」

  • 「学習者用デジタル教材」

Q3 デジタル教科書の使用によって、指導や学習の在り方はどのように変わっていきそうですか。

先生と児童・生徒が主体的に「学びを創る」授業へ

これまでの教科書は、紙という媒体の性質上、印刷物として表示が固定され、周辺教材との連携にも大きな壁がありました。しかし、デジタル教科書の登場によって、教科書の概念が大きく変わろうとしています。先生の指導によって、デジタル教科書からウェブサイトを参照させたり、動画や音声を再生させたり、さまざまな教材を一体的に活用することで、学びを広げることも深めることもできる、そのような授業がイメージできます。また、児童・生徒が自らの考えを自由に表現し、互いに共有し、成長し合う学びが実現できそうです。一人一人の多様な特性に応じて最適化された表示で、教科書の使用を負担に感じる児童・生徒もかなり減るでしょう。

児童・生徒それぞれが主役の学びが実現されるデジタル教科書・デジタル教材を、教育出版はこれからも提供し続けたいと考えています。

次回vol.4では、帝国書院にお話を伺います。

文・画像:教育出版(株)

※当記事のすべてのコンテンツ(文・画像等)の無断使用を禁じます。

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