前回のCくんの話の続きです。
Cくんが、すぐに悪口を友達に全く言わないように変わりました・・・。
というようなサクセスストーリーにはすぐにはなりませんでした。
それ以降もCくんは友達に悪口を言いました。
ただ悪口を言ってしまった友達には、徐々に
すぐに「ごめんなさい」と言えるようにはなってきました。
しかしその1分後には「あほー」「ばか」「まぬけ」。 そ
友達も困惑していました。
そこであるとき、
「Cくん、にゃんと言ってないよね…。にゃんと言いなさい!」
とCくんを叱りました。
するとCくんは「え!?先生、本気だったの・・・」と驚きました。
この日を境に
だめなことや危険なことにはしっかり叱ることと
上のようなユーモアあるやりとり
を繰り返したことで、
1年後、Cくんは友達に悪口や暴言を言うことが少なくなってきました。
ユーモアなやりとりで友達との関係が改善されたようでした。
厳しく叱っているときは、Cくんとの口喧嘩のようになっていました。
教室の雰囲気を殺伐としていました。
一方のユーモアなやりとりは、何かあたたかな雰囲気があるようでした。
支援がいる子にベストな対応の仕方はないと思っています。
その子の性格に応じた、そのときの状況に応じたベターな方法
を探っていかないといけないと考えています。
もちろんいつでもどんなときでもユーモアで返しているわけではありません。そ
の子を叱るときは、他の子と同様に叱ります。
「支援がいる子だから特別というわけではない。悪いことをしても何でも許していいわけではない。」
過去に「何でも許す」先生に出会ったことがあります。
「この子はこうだから・・・」と他の子たちにも言い、同意を求めようとしていました。
こういったことをすべて否定するつもりはありません。
しかし周りの子たちは「子ども」です。納得しないこともあるでしょう。
そして何より支援のいる子にも「だめなことはしたらだめだということ」を教えないといけません。
だから私は支援がいる、いらない関係なしに、在籍している・していない関係なしにダメなことをしたときは同様に叱ります。
・ 相手を傷つけるようなことをしたとき
・ 命の危険
・ 自分を傷つけるようなとき
この3つのときには叱るようにしています。
きっと賛否両論あることでしょう。
もちろん叱り方は変えています。
でも他の子と同様に叱ります。
これが私が大事にしていることのもう1つの「叱る」です。叱った後は、たくさん甘えさせました。
これら2つのことに最初から気づいていたわけではありません。
6年生でDくんを担任した1年間で気づかされたことでした。
続く

樋口 万太郎(ひぐち まんたろう)
京都教育大学附属桃山小学校
みんなが「わかる」「できる」、そして「楽しい」授業を目指し、目の前にいる子に応じた指導を行っています。キーワード「学級経営」「算数」「タブレット端末」。
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