2016.07.26
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支援がいる子への対応~大事にしている2つのこと~(1)

京都教育大学付属桃山小学校 樋口 万太郎

昨年度、ある学校に講師としてよばれ、算数の授業をしたときのことでした。

授業後にその学校の校長先生や担任の先生に

「最後に生き生きと説明した子は支援のいる子なんですよ。

 あの子が生き生きしていた姿を見れて、うれしかったんです。」

と言われました。

違う学校に講師としてよばれ授業を参観後、

そのクラスのある男の子と(担任の先生曰く)楽しくおしゃべりをしていました。

(妖怪ウオッチの話をしていました。)

その様子をみていた担任の先生が、

「先生!あの子は在籍している子なんですが、この短時間でどうやって打ち解けんたんですか!?」

と驚いていました。

 

昨年度、支援学級を担当している先生から悩み相談を受けることがよくありました。

このA先生は大学の出たてであり、教職の経験はありません。

もちろん支援学級を担当することははじめてです。

A先生は担当している子どもとの関係に悩んでいました。

私はそのとき教職11年目でしたが、支援学級を担当したことはありません。

最初はそんな私に相談されてもな・・・と正直思いました。

しかしこのような出来事が立て続けにあったため、 

これまで自分がどのように対応していたのか、ふりかえるいい機会になりました。

 

どの子にも支援はいる。支援をいらない子はいない

 通常学級に在籍している児童生徒のうち、

特別な教育的支援を必要とする児童生徒の割合が、

文部科学省の全国調査(平成14年)によれば約6.3%いるといわれています。

私の学級にも、これまでの10年間で

支援学級に在籍している子もいればグレーゾーンと思われる子たちも

いました。

私は支援学級の専門家ではありません。最低限の知識しかわかりません。

だからこれから書くことすべてが正しいというわけではないでしょう。

ただうまくいったということもあるでしょう。これ通りにしなさいというわけではありません。

ただA先生のように悩んでいる先生の気持ちが少しでも晴れたり、

こんな方法もあるのかなと思っていただけたらいいなと思っています。

 

私の根本にある考え方 

 

どの子にも支援はいる。
支援がいらない子はいない。
ただしその子によって、支援の仕方や支援の量が変わってくる

ということが私の根本にある考え方です。

そのうえで支援をするうえで、私が心がけていることは

 

・ユーモアさ
・みんなと同じように叱る、甘えさせる

 

「ユーモアさ」

3年生を担任していたときのことです。

Bくんがいました。

私「どうしたの?漢字の練習をノートにしないの?」

B「うん」

私「どうしたの?機嫌悪いの?」

B「うん」

私「漢字の練習したくないの?」

B「うん。したくない。」

さてみなさんならこんなときどうしますか?

(1) 無理やりやらせる 

(2) 漢字練習以外のことをさせる 

(3) 待つ 

(4)その他

 

 

私は(5)ユーモアで返すでした((5)なんて、ないやんというツッコミはなしで 笑)

このとき私は

私「よし、わかった。先生がノートに漢字の練習を代わりに書くよ。」

B「え。だめだよ。」

私「先生が許可するから大丈夫。怒られないから」

(本当に書き出す。)

B「え~ちょっとー・・・(困惑)」

私「Bくん、どうしたの?」

B「まんさん(私のこと)、自分でするよ~」

Bくんはこの後、自分で練習をし始めた。(他の子と取り組む量は変えている。)

周りの子「え~、先生がしたらあかんやん 笑」

周りの子「いいな、Bくん。先生にしてもらえて」

そこで周りの子の漢字をいくつか書いてあげた。

「私も」「ぼくも」という声がたくさん聞こえてきたので

私「あかん。なんで先生が練習しないとあかんねん笑 

  先生練習するの疲れた 笑」

クラスの子は爆笑し、それ以降漢字の練習を集中して取り組んでいた。

こういうユーモアである。

Bくんだけに書いてあげるのではなく、周りの子にも書いてあげる。

こういう誰に対してもユーモアで返す。

 

友達に悪口をすぐに言ってしまうCくんがいました。

ある日、友達に悪口を言い、友達を泣かせてしまった。Cくんとの話し合いである。

私「Cくん、どうしたん?」

C「・・・・」

私「なんで相手が傷つくことを言ってしまったん・・・」

C「・・・・・」

Cくんは黙ったままである。さて、みなさんこんなときどうしますか。

(1) 叱る 

(2) 叱らず、話し合いを終わる

(3) 待つ 

(4) その他

 

そうです。(5)ユーモアで返すです笑

このCくんは今までにも私からそして他の先生からもたくさん叱られてきています。

この日も長時間Cくんと話をしていました。だから私は次のような提案をしました。

私「わかった。Cくん、これからも友達に悪口、暴言を言っていいよ。」

C「え!?」

私「ただし友達に悪口、暴言を言うとき、最後ににゃんといいなさい。」

私「バカにゃん。あほにゃんというように言うよ。はい!練習するよ。」

C「バカにゃん・・・、あほにゃん・・・・」

周りの子はクスクス笑い始めている。

C「嫌だ!」

私「だめです。悪口をいわないか、にゃんと言って悪口をいうかのどっちかを選びなさ 

 い」

C「・・・・」

さてCくんはこの後どう変わったのでしょうか。

 

続く 

樋口 万太郎(ひぐち まんたろう)

京都教育大学附属桃山小学校
みんなが「わかる」「できる」、そして「楽しい」授業を目指し、目の前にいる子に応じた指導を行っています。キーワード「学級経営」「算数」「タブレット端末」。

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