2016.04.19
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こんなとき何て言う!?子どもを伸ばすキメ言葉(2)

京都教育大学付属桃山小学校 樋口 万太郎

子どもを伸ばす決め言葉、第2回目です。

前回の記事はこちらから

 

「すぐに泣いてしまう女の子」

 どのように声をかけますか?

「どうしたの?○○ちゃん?」

「泣かなくても大丈夫だよ!」

どれも正解だと思います。

 

ただし1回目にもかいていたように、この女の子の背景を考えることが大事です。

 この子の背景は、

・3年生の2学期

・これまでの学年でもこういうことが度々あった

・「◯◯ちゃん、また泣いている。」と言い出している

などです。

さてどのように声をかけますか?

 

 

 

私は、

「涙の数だけ強くなれるよ。アスファルトに咲く花のように」

と答えました。

 

聞いたことがあるフレーズだと思います。

そうです。岡本真夜「tomorrow」の歌詞の一部です。

決してふざけているわけではありません。真面目です。

どうしてこのように言ったのか解説したいと思います。

 

子どもが泣いている

「泣く」という背景には様々な事実や状況があります。

初任の先生が4月に困る場面の一つがこういった「子どもが泣いている」場面ではないでしょうか。

私は4月に起こる「子どもが泣いているトラブル」のときに、全体で次のような話をします。

 

「先生は泣いているからといって特別扱いはしません。」

「男子でも女子でも一緒です」

「先生は泣きやんでから話をききます。」

「お互いの話をしっかりききます。」

「ただし緊急性やいじめなどの場合は話が別です。」

 

といった話をします。1学期はトラブルがあるごとに、これらのことを繰り返し全体で言います。

子どもは泣いているときはなかなか冷静に話すことができません。

泣き止ませることで少しは落ち着いて話すことができるようになります。

こちら側も一呼吸置けます。

「教師がみた情報だけで、子どもをすぐに叱る。」

もちろん危険なこと、いじめなどそういう場面に出くわしたときにはすぐに叱ることは必要です。

しかし普段の喧嘩などでこうすると・・・・。

私自身何度も痛い目にあってきました・・・。

 

上の女の子は「自分の考えをしっかり伝えてもらいたい。」といった教師の願いがありました。

だから泣き止むまで話をせずにずっと待ちました。

泣き止んだ後に、「どうしたの?」と話をしっかりききました。

どんな背景であっても、フォローを全力でします。

ほったらかしにはしません。

しかし、この後この子と話をしているなかで、

「この子が原因のトラブル」がわかり、私に指導され、また泣き始めてしまいました。

そんな様子をみて、

「まんちゃん(私のこと)が女子を泣かした・・・すげえー」

と男子は感心していました。

 

なぜ男子が「すげえー」と言ったのか

男性は女性の涙に騙されがちです(ぼくだけ?)

先生は女子の涙に騙されがちです。(子どもいわく)

先生方は決して「女子ひいき」をしているといったことはありません。

 

しかし、男子はそう思ってしまうときがあるのです。(女子は逆に男子に)

きっと女子と男子では指導が少しちがうところがあるのかもしれません。

私は子ども時代、自分のクラスが、学級崩壊したクラスでした。

学級崩壊の原因の一つがこれでした。

男子と女子への対応が明らかに違ったのです。

同じ対応をとるように意識しておくことが大切です。

 

トラブルの対応をしているとき

「メモを取りながら、とるけどいい?」

「話は全部言えた?」

「いいよと言ったけど本当にいいの?」

ということを必ず言います。

トラブルは子どもに断りを入れてから、メモをしながら話をきくことをおすすめします。

後で見返したときなどにもわかるからです。 

樋口 万太郎(ひぐち まんたろう)

京都教育大学附属桃山小学校
みんなが「わかる」「できる」、そして「楽しい」授業を目指し、目の前にいる子に応じた指導を行っています。キーワード「学級経営」「算数」「タブレット端末」。

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