2016.03.24
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新しいものとの出会いが子どもを育てる ~新年度の学級経営~

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

年度末、そして新年度の時期になります。

春には新しい学級や学校で、新しい先生や友達との学習が始まります。

 

新年度に関して「色々なものに触れる」ということが大事だと私は感じています。

 

新年度には、学級担任が変わることが多いです。

学校の日々の暮らしにおいて、学校で標準化されたもの、例えば「学校の決まり」のようなものが制定され、担任によって違いはない部分もあります。

しかし、学級における日々の生活においては、各担任によって考え方や方法が違う部分がたくさんあります。

給食におけるお代わりのやり方、宿題の提出のやり方、掃除のやり方・・・。

クラスが変わり、担任が変わることで、そういった違いを経験することが良い学びなのではないかと私は思います。

 

友達も同様です。

新しい学級で新しい友達と接することから学ぶことがたくさんあります。

私の学級では、頻繁に席替えをしています。

その年によっても違うのですが、ここ数年は「二週間に一度」ということが多いです。

方法は「くじ引き」で行っています。

色々なタイプの人と関わって欲しいという願いがあります。

くじ引きなので、誰が隣に来るのかは分かりません。

自分が苦手なタイプの人が来ることもあります。

そういう時こそ育ちのチャンスだと捉えます。

「期間が限られている(二週間)のだから、それなりに割り切って、うまく付き合ってみるように」と伝えます。

社会に出てから付き合う人は自分の好みはあまり関係ありません。

自分が好かないタイプの人が上司になったり、顧客になったりすることは十分考えられることです。

そういった時にそれなりに付き合える術を子どもに身に付けさせたいと思っています。

教室での座席や席替えは、そういった能力を育成するのに適切です。

 

掃除などの役割も私は頻繁に交代しています。

学級によっては、一つの担当場所を一か月程度担当するというやり方があります。

これは、同じ場所を長くやることによって、やることに慣れ、スムーズに作業をすることができるということを狙っているものです。

私が行っている短いスパンで役割を交換していくというものは、上のものとは少し違ったものを狙っています。

担当場所が新しくなると、どうしてもあれこれと相談しなければならないことが出てきます。

取り組むに当たって小さなトラブルなども発生します。

私はそういったことにうまく対処していって欲しいと願っています。

日常生活は、そういった小さなトラブルが頻繁に発生します。

そういったものをスムーズに解決できるかどうかということが、将来、社会生活を送る上で重要になるのではないかと思っています。

 

ことわざに「かわいい子には旅をさせよ」というものがあります。

旅とは非日常の連続です。

そこで起こるトラブルを解決していくことで、育ちが期待できます。

私は大学生の頃、「かわいい子」ではないですが、よく旅をしていました。

長期の春休みを利用して、最も長い時には、7週間も旅をしていました。

アメリカ、ヨーロッパ、アフリカと気の向くまま、旅を続けていました。

そこでは、文化の違う土地なので様々なトラブルが発生しました。

色々な人との関わりの中から何とか解決することができました。

様々なことを学びました。

今、子どもと関わる上でもそれらが役立っています。

 

これまで書いてきたような変化における問題への対処は、「コミュニケーション能力の育成」や「問題解決能力の育成」につながっていきます。

それらの能力は、漢字や計算などの基礎基本の能力とは違い、育成が難しく、また評価も難しいものです。

教師など子どもの周りにいる大人が、そういった能力の育成を意識して日々子どもと接していくことが大切なのだと思います。

そういった日々の積み重ねが「コミュニケーション能力の育成」や「問題解決能力の育成」につながるのだと思います。

 

 

今期はこれで最後の文章になります。

私の拙い文章にお付き合い頂きありがとうございました。

教育界は、難しい問題もありますが、工夫などをして、皆で乗り切っていくことができたらと思っています。

皆さん、年度末、そして新年度とお忙しいことと思います。

お体をご留意ください。

 

 

新年度の学級開きなどに関して以前書いた文章があります。

また、私の実践などをまとめた研究用のホームページがあります。

ご興味のある方はご覧ください。

 

 若い先生のクラスがうまくいかなくなってしまう訳

 若い先生の良さが生きる授業とは

 教室で笑っていますか? 

 若い先生が教室で気にすべきこと

 若い先生が意識すると良い事

 褒めて育てること 

 

 

鈴木邦明ホームページ

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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